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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
READING 第35回 基礎 読了 8分

グルグル回るとめまいがする理由|スポッティングの秘密

Why Do You Feel Dizzy After Spinning Around?

Easy Reading

ぐるぐる回ったあと急に止まると、なぜ世界がまだ回っているように感じるのでしょうか。原因は耳の中にある半規管の液体が、体が止まったあとも動き続けることです。バレエダンサーの『スポッティング』やフィギュアスケート選手の対策まで読んでいきます。

監修:原田高志(原田英語.com)

ぐるぐる回ったあと、止まったのにまだ世界が回っているように感じたことはありませんか。今日は、なぜ目が回るのか、そしてバレエダンサーやフィギュアスケート選手がどうやってその感覚を抑えているのかを読んでいきます。

英文

Why Do You Feel Dizzy After Spinning Around?

Have you ever spun around and felt like the room kept spinning after you stopped?

That dizzy feeling starts inside your ear, in a system called the vestibular system.

Deep inside each ear are three tiny tubes filled with liquid, called semicircular canals.

When you spin, the liquid moves and pushes against tiny hair cells inside the tubes.

Those hair cells send your brain a signal about how you are moving.

When you suddenly stop, though, the liquid keeps moving for a few seconds.

It is like water that keeps swirling in a cup after you stop stirring it.

Your ear tells your brain, "You are still turning," but your eyes say, "You have stopped."

Your brain gets two different messages at once, and that confusion feels like dizziness.

Here is the surprising part: your ear only notices a change in speed.

A speed that never changes sends almost no signal, even if it is very fast.

That is why speeding up and slowing down make you dizzier than steady spinning.

Ballet dancers use this fact with a trick called "spotting."

They fix their eyes on one point, then snap their head around to find it again quickly.

This keeps their eyes still for longer, giving their brain a calmer signal.

Figure skaters use a different trick: they train their eyes to cancel the spinning feeling.

They also keep their spinning speed even, because a steady speed sends almost no signal.

(241 words)

重要語句

語句意味英語の定義
vestibular system 前庭系(平衡感覚をつかさどる仕組み) the system in the inner ear that helps the body sense balance and movement
semicircular canal 半規管 one of three small, curved tubes in the inner ear that sense rotation
hair cell 有毛細胞 a tiny cell inside the ear that senses movement and sends signals to the brain
spotting スポッティング(視線を固定して回転する技術) a technique of fixing your eyes on one point while turning, used to avoid dizziness
dizziness めまい a feeling that everything around you is spinning or unsteady

全文和訳

ぐるぐる回ったあと、部屋がまだ回っているように感じたことはありませんか。そのめまいの感覚は、耳の中にある前庭系(vestibular system)という仕組みから始まります。耳の奥深くには、半規管と呼ばれる、液体で満たされた3本の小さな管があります。体が回転すると、その液体が動いて、管の中にある小さな有毛細胞を押します。その有毛細胞が、自分がどう動いているかという信号を脳に送ります。ところが急に止まると、液体はそのあとも数秒間動き続けます。それは、コップをかき混ぜるのをやめたあとも、水がしばらく渦を巻き続けるのに似ています。耳は脳に『まだ回っている』と伝えますが、目は『もう止まっている』と伝えます。脳は同時に2つの違う信号を受け取り、その食い違いがめまいとして感じられます。意外なことに、耳が気づけるのは『速さの変化』だけです。どれだけ速くても、速さがまったく変わらなければ、信号はほとんど送られません。だからこそ、一定の速さで回り続けるより、加速したり減速したりするほうが、ずっとめまいがしやすいのです。バレエダンサーは、この仕組みを『スポッティング』という技で利用しています。まず1点に目を固定し、そのあと頭だけをすばやく回して、同じ点をもう一度見つけます。こうすると目が止まっている時間が長くなり、脳に届く信号が落ち着いたものになります。フィギュアスケート選手は別の方法を使います。回っている感覚を打ち消すような目の動きを、訓練で身につけるのです。また、回る速さを一定に保ちます。速さが変わらなければ、耳はほとんど信号を送らないからです。

コラム:目が回る仕組みと、プロが目を回さないためにしていること

耳の中の液体が、遅れて『まだ回ってるよ』と伝える

クリーブランドクリニックによれば、前庭系は耳の中にあり、体のバランス感覚をつかさどる仕組みです。頭を動かすと、半規管の中を満たす液体(内リンパ)が動き、その中にある有毛細胞が曲がることで、脳に『どちらへ、どれくらいの速さで動いているか』という信号が送られます。問題は、急に回転を止めても、その液体がすぐには止まらないことです。液体はしばらく動き続け、耳は『まだ回っている』という信号を送り続けます。ところが目は、景色が止まったことを見ています。2つの違う情報が同時に脳へ届くことが、めまいの正体です。

耳が気にしているのは『速さ』ではなく『速さの変化』

Scientific American誌の記事によれば、前庭系のセンサーは速さの変化だけを感知でき、変化のない一定の速さの回転は感知できません。つまり、どれだけ速く回っていても、その速さがまったく変わらなければ、めまいの原因になる信号はほとんど送られないのです。つまり、めまいの信号が強く出るのは、主に回転を始めるときの加速と、止めるときの減速の場面ということになります。回転そのものの速さより、『変化』のほうが効いているのです。

バレエダンサーの視線固定と、スケート選手の目の動かし方

バレエダンサーは『スポッティング』という技術で、体を一定の速さで回しながら、頭だけを速く回して1点に視線を固定し直し続けます。目が止まっている時間を長くすることで、脳が受け取る情報を落ち着かせる仕組みです。Scientific American誌によれば、2013年の研究は、この訓練がダンサーの脳に、めまいの信号を発生源である内耳の段階で抑える力を育てている可能性を示しています。ここで分かっているのは、バレエダンサーについてのことです。

フィギュアスケート選手がしていることは、これとは別です。同誌によれば、回転すると眼振(がんしん)という、目が勝手に往復してしまう動きが起こり、これが世界の回って見える原因になります。スケート選手は、その眼振を打ち消す反対向きの目の動き(視運動性眼振)を、回っている最中に自分から起こせるように訓練します。あわせて、回る速さを一定に保つという方法も使われます。それでもバランスを崩すことはあるため、回転の終わりの動きを繰り返し練習しておき、ふらついても立て直せるようにしているとのことです。

動画で見る

スポッティングでめまいを防ぐ方法を教えるバレエのレッスン映像 (TVTara) 初心者向けに、視線を固定して回転する『スポッティング』のやり方を紹介しています。英語です。

確認クイズ

  1. Q1. 本文によると、耳の中の半規管が実際に感知しているのは何か。

  2. Q2. 本文によると、バレエダンサーが『スポッティング』で行っていることは何か。

よくある質問

一定の速さで回り続けても、めまいは起きませんか。

本文で紹介したとおり、耳のセンサーは速さの変化だけを感知します。速さがまったく変わらなければ、めまいの原因になる信号はほとんど送られません。めまいが強く出るのは、主に回転を始めるときと止めるときです。