ボイジャーのゴールデンレコード|英語のあいさつは7語だけ
はらだコラム
1977年9月5日に打ち上げられたボイジャー1号には、金メッキのレコードが1枚積んであります。55の言語のあいさつが入っていて、英語はたった7語の1文でした。吹き込んだのは6歳の子どもです。動詞のないこの1文の作りと、いまも使える Hello from 〜 の形を、NASAの出典つきで書きました。
監修:原田高志(原田英語.com)
49年前の今日、1977年9月5日に、ボイジャー1号が打ち上げられました。
この探査機には、金メッキのレコードが1枚積んであります。ゴールデンレコードと呼ばれているものです。地球の音と写真を、宇宙のどこかにいるかもしれない誰かへ向けて入れてあります。
そこに入っている英語のあいさつは、たった7語の1文だけです。しかも、動詞が入っていません。
2号のほうが、16日早く飛び立っています
名前は1号と2号ですが、先に打ち上げられたのは2号のほうです。
- ・ボイジャー2号 … 1977年8月20日
- ・ボイジャー1号 … 1977年9月5日
16日の差があります。NASAのページは、1号について launched after Voyager 2(ボイジャー2号のあとに打ち上げられた)と書いています。そのうえで Voyager 1 overtook Voyager 2 on Dec. 15, 1977.(ボイジャー1号は1977年12月15日に2号を追い越した)と続きます(NASA|Voyager 1)。
overtake は「追い越す」です。過去形は overtook。走っている車が前の車を抜くときにも使います。
1号のほうが速い道を通ったので、あとから出て先へ進みました。番号は、飛び立った順番ではありません。
1号は2012年8月25日に、太陽から吹き出す風が届いている範囲の外へ出ました。ここを最初に出た探査機です(同じNASAのページ)。
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55の言語のあいさつが入っています
ゴールデンレコードは、直径12インチ(約30センチ)の金メッキの銅の円盤です(NASA|Golden Record Overview)。アルミの容器に、針と一緒に入れてあります。
入っているものは3つです。
- ・115枚の画像
- ・90分ぶんの音楽
- ・55の言語のあいさつ
中身を選んだのは、コーネル大学のカール・セーガンが委員長を務めた委員会でした(NASA|Golden Record Contents)。あいさつを集める仕事は、リンダ・サルツマン・セーガンが受け持ちました。
話し手への注文は、2つだけです。NASAのページには no instructions on what to say other than that it was to be a greeting to possible extraterrestrials and that it must be brief(何を言うかの指示はなく、地球の外にいるかもしれない相手へのあいさつであること、そして短いこと、それだけ)と書かれています(NASA|Golden Record Greetings)。
台本はありません。短くしてください、とだけ伝えてあります。
日本語のあいさつも入っています。NASAの一覧は、その日本語を英語に直して Hello? How are you? と載せています。中学校で早い時期に習う2文が、そのまま並んでいます。
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英語のあいさつは、6歳の子どもが吹き込みました
英語のあいさつを声にしたのは、カール・セーガンの息子のニックです。NASAのページに、こう書かれています。
Carl Sagan's son Nick was six years old in 1977 when the Voyager records were being assembled.(ボイジャーのレコードが組み立てられていた1977年、カール・セーガンの息子のニックは6歳でした)
吹き込んだ1文がこれです(NASA|Voyager at 30: The Golden Record)。
Hello from the children of planet Earth.
数えると7語です。動詞が1つも入っていません。
- ・Hello from 〜 … 「〜からごあいさつ」。旅先のはがきに書く Hello from Kyoto! と同じ形です
- ・planet Earth … 「地球という星」。種類(planet)を先に、名前(Earth)をあとに置きます。Mount Fuji(富士山)や Lake Biwa(琵琶湖)と同じ並べ方です
- ・of … ここは「〜の」。the children of planet Earth で「地球という星の子どもたち」
主語も動詞もありません。それでも、あいさつとして通ります。
Hello from 〜 は、いまでも使えます
この形は、宇宙だけのものではありません。手紙やメール、SNSの書き出しに、いまもよく出てきます。
- ・Hello from Tokyo.(東京からこんにちは)
- ・Hello from the whole team.(チーム全員からごあいさつ)
- ・Greetings from Hokkaido!(北海道より)
英語で一言だけ送りたいときに、I am writing to say hello to you. のような文を組み立てようとして、手が止まることがあります。主語と動詞をそろえようとするからです。
Hello from のうしろに、自分のいる場所か、自分たちを指す言葉を1つ置けば、それで終わりです。
宇宙へ送った7語と、同じ作りになります。
今日の英語のひとかけら
Hello from the children of planet Earth.
地球という星の子どもたちから、ごあいさつを送ります。
ボイジャーのゴールデンレコードに入っている、英語のあいさつです。7語で、動詞はありません。Hello from 〜 は「〜からごあいさつ」。planet Earth は「地球という星」で、種類を先に、名前をあとに置きます。Mount Fuji と同じ並べ方です。
レコードは、いまも2機に載ったまま飛んでいます。ボイジャー1号は2012年に、太陽の風が届く範囲の外へ出ました。中に入っている英語は、49年前に6歳の子どもが吹き込んだ Hello from the children of planet Earth. のままです。
短くしてください。注文はそれだけでした。長い文にしなかったから、7語のまま残ったのだと思います。
明日やることは1つです。英語で誰かにあいさつを送るとき、Hello from のあとに1語か2語だけ置いて、そこで文を終えてみてください。Hello from Osaka. でも Hello from my classroom. でも通じます。主語と動詞をそろえなくても、あいさつは届きます。
原田高志
よくある質問
ボイジャーのゴールデンレコードには、何が入っていますか。
115枚の画像、90分ぶんの音楽、そして55の言語のあいさつです。中身を選んだのは、コーネル大学のカール・セーガンが委員長を務めた委員会でした(NASA|Golden Record Contents)。レコードそのものは直径12インチの金メッキの銅の円盤で、アルミの容器に針と一緒に入れてあります。
英語のあいさつは、何と言っていますか。
Hello from the children of planet Earth.(地球という星の子どもたちから、ごあいさつを送ります)の1文です。声を吹き込んだのはカール・セーガンの息子のニックで、1977年当時6歳でした(NASA|Voyager at 30: The Golden Record)。