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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
COLUMN 第27回 基礎 読了 4分

ボイジャーのゴールデンレコード|英語のあいさつは7語だけ

はらだコラム

1977年9月5日に打ち上げられたボイジャー1号には、金メッキのレコードが1枚積んであります。55の言語のあいさつが入っていて、英語はたった7語の1文でした。吹き込んだのは6歳の子どもです。動詞のないこの1文の作りと、いまも使える Hello from 〜 の形を、NASAの出典つきで書きました。

監修:原田高志(原田英語.com)

49年前の今日、1977年9月5日に、ボイジャー1号が打ち上げられました。

この探査機には、金メッキのレコードが1枚積んであります。ゴールデンレコードと呼ばれているものです。地球の音と写真を、宇宙のどこかにいるかもしれない誰かへ向けて入れてあります。

そこに入っている英語のあいさつは、たった7語の1文だけです。しかも、動詞が入っていません。

2号のほうが、16日早く飛び立っています

名前は1号と2号ですが、先に打ち上げられたのは2号のほうです。

  • ・ボイジャー2号 … 1977年8月20日
  • ・ボイジャー1号 … 1977年9月5日

16日の差があります。NASAのページは、1号について launched after Voyager 2(ボイジャー2号のあとに打ち上げられた)と書いています。そのうえで Voyager 1 overtook Voyager 2 on Dec. 15, 1977.(ボイジャー1号は1977年12月15日に2号を追い越した)と続きます(NASA|Voyager 1)。

overtake は「追い越す」です。過去形は overtook。走っている車が前の車を抜くときにも使います。

1号のほうが速い道を通ったので、あとから出て先へ進みました。番号は、飛び立った順番ではありません。

1号は2012年8月25日に、太陽から吹き出す風が届いている範囲の外へ出ました。ここを最初に出た探査機です(同じNASAのページ)。

動画で見る

打ち上げから40年に合わせて公開された、ボイジャーの動画 (NASA Jet Propulsion Laboratory)

55の言語のあいさつが入っています

ゴールデンレコードは、直径12インチ(約30センチ)の金メッキの銅の円盤です(NASA|Golden Record Overview)。アルミの容器に、針と一緒に入れてあります。

入っているものは3つです。

  • 115枚の画像
  • 90分ぶんの音楽
  • 55の言語のあいさつ

中身を選んだのは、コーネル大学のカール・セーガンが委員長を務めた委員会でした(NASA|Golden Record Contents)。あいさつを集める仕事は、リンダ・サルツマン・セーガンが受け持ちました。

話し手への注文は、2つだけです。NASAのページには no instructions on what to say other than that it was to be a greeting to possible extraterrestrials and that it must be brief(何を言うかの指示はなく、地球の外にいるかもしれない相手へのあいさつであること、そして短いこと、それだけ)と書かれています(NASA|Golden Record Greetings)。

台本はありません。短くしてください、とだけ伝えてあります。

日本語のあいさつも入っています。NASAの一覧は、その日本語を英語に直して Hello? How are you? と載せています。中学校で早い時期に習う2文が、そのまま並んでいます。

動画で見る

ゴールデンレコードの中身を解説した動画 (SciFri) 画面をドラッグして向きを変えられる360度の動画です。

英語のあいさつは、6歳の子どもが吹き込みました

英語のあいさつを声にしたのは、カール・セーガンの息子のニックです。NASAのページに、こう書かれています。

Carl Sagan's son Nick was six years old in 1977 when the Voyager records were being assembled.(ボイジャーのレコードが組み立てられていた1977年、カール・セーガンの息子のニックは6歳でした)

吹き込んだ1文がこれです(NASA|Voyager at 30: The Golden Record)。

Hello from the children of planet Earth.

数えると7語です。動詞が1つも入っていません。

  • Hello from 〜 … 「〜からごあいさつ」。旅先のはがきに書く Hello from Kyoto! と同じ形です
  • planet Earth … 「地球という星」。種類(planet)を先に、名前(Earth)をあとに置きます。Mount Fuji(富士山)や Lake Biwa(琵琶湖)と同じ並べ方です
  • of … ここは「〜の」。the children of planet Earth で「地球という星の子どもたち」

主語も動詞もありません。それでも、あいさつとして通ります。

Hello from 〜 は、いまでも使えます

この形は、宇宙だけのものではありません。手紙やメール、SNSの書き出しに、いまもよく出てきます。

  • Hello from Tokyo.(東京からこんにちは)
  • Hello from the whole team.(チーム全員からごあいさつ)
  • Greetings from Hokkaido!(北海道より)

英語で一言だけ送りたいときに、I am writing to say hello to you. のような文を組み立てようとして、手が止まることがあります。主語と動詞をそろえようとするからです。

Hello from のうしろに、自分のいる場所か、自分たちを指す言葉を1つ置けば、それで終わりです。

宇宙へ送った7語と、同じ作りになります。

今日の英語のひとかけら

Hello from the children of planet Earth.

地球という星の子どもたちから、ごあいさつを送ります。

ボイジャーのゴールデンレコードに入っている、英語のあいさつです。7語で、動詞はありませんHello from 〜 は「〜からごあいさつ」。planet Earth は「地球という星」で、種類を先に、名前をあとに置きます。Mount Fuji と同じ並べ方です。

レコードは、いまも2機に載ったまま飛んでいます。ボイジャー1号は2012年に、太陽の風が届く範囲の外へ出ました。中に入っている英語は、49年前に6歳の子どもが吹き込んだ Hello from the children of planet Earth. のままです。

短くしてください。注文はそれだけでした。長い文にしなかったから、7語のまま残ったのだと思います。

明日やることは1つです。英語で誰かにあいさつを送るとき、Hello from のあとに1語か2語だけ置いて、そこで文を終えてみてください。Hello from Osaka. でも Hello from my classroom. でも通じます。主語と動詞をそろえなくても、あいさつは届きます。

原田高志

よくある質問

ボイジャーのゴールデンレコードには、何が入っていますか。

115枚の画像90分ぶんの音楽、そして55の言語のあいさつです。中身を選んだのは、コーネル大学のカール・セーガンが委員長を務めた委員会でした(NASA|Golden Record Contents)。レコードそのものは直径12インチの金メッキの銅の円盤で、アルミの容器に針と一緒に入れてあります。

英語のあいさつは、何と言っていますか。

Hello from the children of planet Earth.(地球という星の子どもたちから、ごあいさつを送ります)の1文です。声を吹き込んだのはカール・セーガンの息子のニックで、1977年当時6歳でした(NASA|Voyager at 30: The Golden Record)。