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日刊原田英語 Harada Eigo Daily
AI & ENGLISH 第4回 標準 読了 6分

英語リスニングのAIプロンプト3本|読めるのに聞き取れない

AI×英語 第4回

文字で読めば分かるのに、耳で聞くと聞き取れない。その原因の多くは、単語と単語がつながって別の音に変わる『リンキング』にあります。今日は音声を使わず、テキストのAIチャットだけでリスニング力を底上げする3本のプロンプトを紹介します。

監修:原田高志(原田英語.com)

今日のテーマはリスニングです。単語は知っているのに、話されると聞き取れない。その正体のかなりの部分は、単語同士がつながって音が変わる『リンキング』にあります。音声を使わなくても、文字ベースのAIチャットだけでこの弱点にアプローチできるプロンプトを3本、用意しました。

「単語は知っている。文法も分かる。なのに聞き取れない」。多くの学習者が突き当たる壁です。原因の多くは、単語1つ1つの音ではなく、単語と単語がつながって別の音に変わる現象にあります。want to が wanna に、have to が hafta に聞こえるのと同じしくみです。

音声を使わなくても、AIのテキストチャットだけでこの壁にアプローチできます。今日は、英文がどう『つながって』聞こえるかを解剖するプロンプト聞き取れなかった一部分を推理させるプロンプト自分の発話が文字起こしでどう誤変換されたかから発音のクセを逆算するプロンプトの3本です。

英文が実際どう『つながって』聞こえるかを解剖してもらう

聞く力が伸びる

教科書どおりに1語ずつ発音すれば聞き取れるのに、ネイティブの速い会話になると同じ文が聞き取れない。その原因は、単語同士が音でつながって、別の音のかたまりに変わっているからです。つながる場所を先に知っておくと、実際の音声を聞いたときの答え合わせが早くなります。

Prompt 01
Here is an English sentence:

"""
(paste an English sentence you want to understand)
"""

Please do the following:
1. Identify every place where words link together in natural, fast speech (e.g. "want to" → "wanna", "did you" → "didja").
2. For each linking point, show the written form and the sound it actually becomes.
3. Write out the whole sentence the way it would actually sound when spoken naturally, using simple phonetic spelling (not IPA).
4. Do NOT explain grammar. Focus only on sound changes.
日本語訳
次の英文があります。

"""
(聞き取りたい英文をここに貼る)
"""

以下を行ってください。
1. 自然で速い会話のなかで、単語同士がつながる箇所をすべて見つける(例:"want to"→"wanna"、"did you"→"didja")
2. つながる箇所ごとに、書かれた形と、実際に変わる音を示す
3. 文全体を、実際に自然に話されたときの音どおりに、簡単なカタカナ的表記で書き出す
4. 文法の説明はしないこと。音の変化だけに集中する。

使いかた

  1. 1 リスニング教材やニュースの英文から、聞き取れなかった1文をコピーする
  2. 2 """ """ の中に貼り付けて送信する
  3. 3 返ってきた『実際の音』の表記を見ながら、自分でもう一度声に出して読む
  4. 4 余裕があれば、その文を音声読み上げアプリで聞いて答え合わせをする

こんな形で返ってきます

入れたもの(例)

What are you going to do this weekend?

返ってくる形(抜粋)

①what are → ワラ ②going to → ガナ ③実際の音:ワラユー ガナ ドゥー ディス ウィーケンド? ④do this のように子音が連続する箇所は、前の音がやや飲み込まれます

返ってきたら、この一言を続ける

  • Now give me three more sentences with the same linking pattern.

    同じつながり方をする文を、あと3つ出してください。

  • Which linking pattern is most common in everyday conversation?

    日常会話でいちばんよく出てくるつながり方はどれか、教えてください。

一度に長い文を貼ると情報が多すぎて散漫になります。1文、長くても2文までに絞ると効果が上がります。

動画で見る

ネイティブが速く聞こえる理由を、音のつながりから説明する (Pronunciation with Emma) AIに解剖してもらう前に、これを見ておくと指示が書きやすくなります。

聞き取れなかった一部分を、手がかりから推理してもらう

聞く力が伸びる

映画のセリフや曲の歌詞で、一部分だけどうしても聞き取れないことがあります。そんなとき、聞こえた音のかけらと前後の文脈をAIに渡すと、可能性のある単語をいくつも候補として挙げてくれます。正解を教えてもらうのではなく、自分の耳で答え合わせをするための材料にするのがコツです。

Prompt 02
I'm trying to catch a phrase in English audio, but I can't make out one part.

Context (what happens before and after): """(describe the situation)"""
What I think I heard (even a rough guess): """(write your best guess, however uncertain)"""

Please:
1. List 3-5 possible phrases that would fit both the sound and the context.
2. For each candidate, explain briefly why it fits.
3. Rank them from most likely to least likely.
Do NOT just give me one "correct" answer — I want to keep listening and check for myself.
日本語訳
英語の音声のあるフレーズを聞き取ろうとしているのですが、一部分がどうしても分かりません。

文脈(前後で何が起きているか):"""(状況を説明する)"""
自分に聞こえた音(あいまいな推測でも可):"""(自信がなくても、聞こえたとおりに書く)"""

以下を行ってください。
1. 音にも文脈にも合いそうなフレーズを3〜5個挙げる
2. それぞれの候補について、なぜ合いそうかを簡潔に説明する
3. 可能性が高い順に並べる
『正解はこれです』と1つだけ断定しないこと。自分の耳でもう一度確かめたいので。

使いかた

  1. 1 聞き取れない部分の前後のセリフやシーンの状況を、日本語でよいので書く
  2. 2 自分の耳に聞こえたとおりの音を、できるだけそのまま書く(単語になっていなくてもよい)
  3. 3 候補が返ってきたら、その部分だけを繰り返し聞いて、どれがいちばん近いか自分で判定する
  4. 4 正解が分かったら、なぜ聞き取れなかったのか(早口・省略・知らない語)を一言メモしておく

こんな形で返ってきます

入れたもの(例)

文脈:友達に急いでと言っている場面/聞こえた音:「レッツ ダウェイ」

返ってくる形(抜粋)

候補①Let's get away(音は近いが場面と合わない) 候補②Let's get going(急いでという場面に合う。goingの音がダウェイに近づく) 候補③We should get going(文脈に近いが音がやや遠い) → いちばん可能性が高いのは②

返ってきたら、この一言を続ける

  • Why does "get going" end up sounding like that?

    なぜ get going があの音になるのか、しくみを説明してください。

聞こえた音は『正確に』ではなく『自分に聞こえたまま』書くのがコツです。正しく書き直そうとすると、手がかりが消えてしまいます。

動画で見る

子音と母音がつながる型を、口の動きで見せる解説 (Speak Confident English) 聞き取れなかった箇所が、この型のどれに当たるかを確かめてみてください。

音声入力の誤変換から、自分の発音のクセを逆算してもらう

発音力が伸びる

スマホの音声入力に英語で話しかけると、意図しない単語に変換されることがあります。その『ズレ』こそ、自分の発音のクセを教えてくれる貴重な手がかりです。誤変換の実例をAIに見せるだけで、直すべき音を具体的に指摘してもらえます。

Prompt 03
I used speech-to-text (voice input) to say an English sentence, but it transcribed something different from what I meant.

What I meant to say: """(the sentence you intended)"""
What the app actually transcribed: """(paste the transcription result)"""

Please:
1. Compare the two and identify which specific sounds likely caused the misrecognition.
2. Explain the most likely pronunciation habit behind each mistake (e.g. vowel length, consonant confusion, stress).
3. Give me one simple sentence to practice each sound in isolation.
Do NOT just say "practice more" — be specific about the sound.
日本語訳
英語で音声入力を使って話しかけたのですが、言いたかったことと違う言葉に変換されてしまいました。

言いたかった文:"""(本来言いたかった英文)"""
実際に変換された文:"""(アプリが実際に文字にした結果を貼る)"""

以下を行ってください。
1. 2つを比べて、誤変換の原因になった可能性が高い音を特定する
2. それぞれのミスの裏にありそうな発音のクセを説明する(母音の長さ・子音の混同・アクセント位置など)
3. その音だけを練習できる、シンプルな文を1つずつ出す
『もっと練習しましょう』のような曖昧な返しはせず、具体的な音を指摘すること。

使いかた

  1. 1 スマホの音声入力(英語モード)に、練習したい英文を話しかける
  2. 2 言いたかった文と、実際に変換された文の両方をコピーする
  3. 3 プロンプトの """ """ にそれぞれ貼って送信する
  4. 4 指摘された音を、提示された練習文で3回ずつ声に出す

こんな形で返ってきます

入れたもの(例)

言いたかった:I'd like to work here./変換結果:I'd like to walk here.

返ってくる形(抜粋)

①work と walk の母音の混同が原因の可能性が高いです ②work の /ɜːr/ は口をあまり開けず喉の奥で出す音、walk の /ɔː/ は口を大きく開ける音です ③練習文:"She works near the park."

返ってきたら、この一言を続ける

  • Give me a short tongue twister that uses this sound many times.

    この音をたくさん使う短い早口言葉を1つ出してください。

一度だけでなく、同じ文を3日続けて音声入力にかけて、ズレが減っているかを記録すると成果が見えます。

AI相手に、声に出してみる

音声を聞いて、そのまま真似してください。AIとの英会話は、この一言から始まります。

Sorry, could you say that a bit more slowly? I caught most of it, just not the middle part.

すみません、もう少しゆっくり言ってもらえますか。ほとんど分かったんですが、真ん中の部分だけ聞き取れなくて。

Can you break that sentence down word by word for me?

その文を単語ごとに分解して見せてもらえますか。

I think I misheard you — did you say "walk" or "work"?

聞き間違えたかもしれません。walk と言いましたか、それとも work ですか。

AI時代の英語学習、ここだけは

聞き取れない場所を『音』のまま記録する

聞き取れなかった部分を、正しいスペルに直そうとせずに、自分に聞こえたとおりの音のままメモしておいてください。あとでAIに見せるとき、これが最大の手がかりになります。正しく書き直した時点で、手がかりは消えてしまいます。

1回の練習で扱う音は1つだけにする

リンキングも発音のクセも、一度にたくさん指摘されると、結局どれも身につきません。1回のやりとりで直す音は1つだけと決めておくと、次にその音が出てきたときに気づけるようになります。

音声入力は『発音の鏡』として使う

音声入力アプリを、正しく変換させることが目的の道具ではなく、自分の発音がどう聞こえているかを映す鏡として使ってみてください。何度も同じ単語が誤変換されるなら、それがいちばん直すべき音です。

⚠️ 使うときの注意

⚠️ AIが提示する『実際の音』の表記は、あくまで目安です。方言や個人の話し方によってつながり方は変わりますし、AIも聞き取りを完全に保証してくれるわけではありません。最終的な確認は、必ず実際の音声で行ってください。

リスニングは、単語や文法の知識だけでは埋まらない部分があります。その差の多くは『知っている音』と『実際に話される音』のズレです。今日紹介したプロンプトは、そのズレを埋める手がかりを、音声を使わなくても手に入れる方法です。

聞き取れなかった1文をそのままにせず、今日のうちに1つだけ試してみてください。

原田高志