英語の丁寧さをAIで調整する|プロンプト3本
AI×英語|第40回
同じ内容でも、相手が友だちか先生かで英語は変わります。ところが教科書はどちらか一方しか載せません。今日は、書いた英文の丁寧さを3段階に並べ替えさせて、違いを目で見るためのプロンプトを用意しました。
監修:原田高志(原田英語.com)
英語には敬語が無い、とよく言われます。でも実際には、丁寧さの段階はちゃんとあります。ただ、語尾ではなく別のところに出るので、日本語の感覚では見えにくいだけです。
Send me the file. と Could you possibly send me the file? は、同じことを頼んでいます。それでも、相手に届く感じはまるで違います。
日本語なら「送って」と「お送りいただけますでしょうか」で、語尾を見れば一目です。英語はそこが違います。丁寧さは語尾ではなく、文の長さ、助動詞、疑問の形に出ます。だから慣れないと、どこを変えればよいのか分かりません。
今日の3本は、そこを見えるようにするためのものです。同じ内容を3段階に並べ替えさせると、何が丁寧さを作っているのかが、差分として浮かび上がります。
同じ内容を、くだけた・ふつう・とても丁寧の3段階に書き分けさせる
書く力が伸びる
自分の英文が相手に対して丁寧すぎるのか、ぶっきらぼうなのか。1文だけ見ても判断できません。同じ内容を3つ並べてもらえば、自分の書いたものがどこに位置するかが一目で分かります。並べることが目的なので、正解を1つ選ばせません。
Rewrite the message below at three levels of politeness.
MESSAGE:
"""
(ここに自分が書いた英文を貼る)
"""
Use exactly this format:
CASUAL: <version>
NEUTRAL: <version>
VERY POLITE: <version>
Then add one line in Japanese:
変えたところ: <the two or three things that changed, in Japanese>
Finally, tell me in Japanese which level my original message was closest to.
Do NOT explain grammar. Do NOT give me more than three versions. 下のメッセージを、丁寧さの3段階に書き直してください。
メッセージ:
"""
(ここに自分が書いた英文を貼る)
"""
次の形式のとおりに出してください。
CASUAL: <くだけた版>
NEUTRAL: <ふつう版>
VERY POLITE: <とても丁寧な版>
そのあと、日本語で1行だけ足してください。
変えたところ: <変わった点を2つか3つ、日本語で>
最後に、私が書いた元のメッセージがどの段階にいちばん近かったかを、日本語で教えてください。
文法の説明は書かないでください。3つより多く出さないでください。 使いかた
- 1 自分が実際に送ろうとしている英文を1つ用意します。長くなくて構いません
- 2 上のプロンプトに貼って実行します
- 3 3つを上から声に出して読みます。音の長さがどれだけ違うかを体で確かめてください
- 4 最後の行で、自分の元の文がどこにいたかを確認します。そこが自分の癖です
こんな形で返ってきます
入れたもの(例)
Send me the file.
返ってくる形(抜粋)
CASUAL: Send me the file when you get a chance. NEUTRAL: Could you send me the file? VERY POLITE: I was wondering if you might be able to send me the file. 変えたところ: 命令文から疑問文へ/助動詞 could・might が入った/文が長くなった あなたの元のメッセージは CASUAL よりさらに直接的で、命令に近い形でした。
返ってきたら、この一言を続ける
-
Which one would you send to a teacher?
先生に送るなら、どれを選ぶか教えてください。
-
Make the very polite one shorter without losing politeness.
とても丁寧な版を、丁寧さを保ったまま短くしてください。
受け取った英語の丁寧さを、逆に測らせる
読む力が伸びる
海外からのメールが冷たく感じられる。よくある悩みですが、たいてい思い過ごしです。英語の実務メールはもともと短いので、日本語の感覚で読むとそっけなく見えます。相手の丁寧さの段階を測ってもらえば、余計な心配をしなくて済みます。
Read the message I received below and tell me, in Japanese:
1. How polite it is, on a scale of 1 to 5.
2. Two specific words or structures that made you choose that number.
3. Whether the writer sounds annoyed, neutral, or friendly.
MESSAGE:
"""
(ここに受け取った英文を貼る)
"""
Do NOT translate the whole message. Do NOT suggest a reply yet. 下に貼る、私が受け取ったメッセージを読んで、日本語で次を教えてください。
1. 丁寧さを1から5の段階で言うと、いくつか。
2. その数字を選んだ理由になった、具体的な語や構文を2つ。
3. 書き手が怒っているように聞こえるか、中立か、親しげか。
メッセージ:
"""
(ここに受け取った英文を貼る)
"""
全文を翻訳しないでください。まだ返信案は出さないでください。 使いかた
- 1 気になったメールやメッセージを、そのまま貼ります
- 2 返ってきた数字ではなく、2つ挙げられた語や構文のほうを見ます
- 3 そこが、丁寧さを決めている場所です。同じ語を自分でも使ってみます
- 4 心配が消えたら、そこで終わりにしてください。返信案はまだ求めません
こんな形で返ってきます
入れたもの(例)
Please send the report by Friday.
返ってくる形(抜粋)
1. 丁寧さ: 3(ふつう) 2. 理由になった語・構文: ・Please が付いている(無いと命令に近くなります) ・by Friday と期限だけを示し、理由や言い訳を書いていない 3. 書き手の様子: 中立です。怒っている印はありません。実務のメールとしては標準的な短さで、日本語に直訳すると冷たく見えるだけです。
返ってきたら、この一言を続ける
-
Now write a reply at the same level of politeness.
では、同じ丁寧さの段階で返信を書いてください。
-
Would a native speaker read this as rude? Answer yes or no first.
英語を母語とする人は、これを失礼だと感じますか。まずはいいえかはいで答えてください。
頼みごとの一言を、場面ごとに言い分けさせる
話す力が伸びる
書くときは考える時間がありますが、話すときはありません。同じ頼みごとを、相手が変わったときにどう言うか。先に3つ用意して口に入れておけば、その場で選ぶだけになります。
I want to ask someone for the same favor in three different situations.
FAVOR:
"""
(ここに頼みたいことを日本語で書く)
"""
Give me one short spoken line for each situation:
友だちに:
初対面の相手に:
先生や上司に:
Keep each line under 12 words. Add the Japanese meaning on the next line.
Do NOT write email-style sentences. These are for speaking. 同じ頼みごとを、3つの場面でしたいと思っています。
頼みごと:
"""
(ここに頼みたいことを日本語で書く)
"""
それぞれの場面について、話し言葉の短い1文をください。
友だちに:
初対面の相手に:
先生や上司に:
各文は12語以内にしてください。次の行に日本語訳を付けてください。
メールのような文体にしないでください。これは話すためのものです。 使いかた
- 1 頼みごとを日本語で1つ書きます。「ペンを貸してほしい」でも構いません
- 2 3つ返ってきたら、全部を声に出して10回ずつ言います
- 3 いちばん言いにくいものを1つ選び、それだけをさらに10回言います
- 4 言いにくかったものが、いま自分に足りない段階です
こんな形で返ってきます
入れたもの(例)
写真を撮ってほしい
返ってくる形(抜粋)
友だちに: Can you take a pic of us? (写真撮ってくれる?) 初対面の相手に: Excuse me, could you take a photo of us? (すみません、写真を撮っていただけますか) 先生や上司に: Would you mind taking a photo of us? (写真を撮っていただいてもよろしいでしょうか)
返ってきたら、この一言を続ける
-
Now give me the same three lines for saying no.
同じ3つの場面で、断るときの言い方も出してください。
-
Which one sounds too formal for a classmate?
この中で、同級生に使うには丁寧すぎるものはどれか教えてください。
AI相手に、声に出してみる
音声を聞いて、そのまま真似してください。AIとの英会話は、この一言から始まります。
Say it again, but less formal this time.
もう一度言ってください。今度はもう少しくだけた形で。
Is this too polite for a classmate?
これは同級生に使うには丁寧すぎますか。
Keep the meaning, change only the tone.
意味はそのままで、調子だけ変えてください。
AI時代の英語学習、ここだけは
英語の丁寧さは、長さに出る
3段階を並べると、必ず同じことが起きます。丁寧になるほど、文が長くなるのです。
Send it.(2語)→ Could you send it?(4語)→ I was wondering if you could send it.(8語)
日本語では語尾を替えるだけで済むので、長さはあまり変わりません。英語は、遠回りすること自体が丁寧さになっています。
迷ったときの目安は簡単です。言いにくい相手には、長く言う。
Please を足しても、命令は命令のまま
よくある思い違いが、please を付ければ丁寧になる、というものです。
Please send me the file. は、たしかに Send me the file. より柔らかい。ですが形はまだ命令文です。目上の相手や初対面には、これでも足りないことがあります。
本当に段階を上げるなら、命令文をやめて疑問文にします。Could you send me the file? この1手のほうが、please 10個ぶんの働きをします。
丁寧すぎるほうも、事故になる
丁寧なら安全、ではありません。同級生に I was wondering if you might possibly ... と言うと、距離を取られたように聞こえます。
日本語でも、友だちに「お忙しいところ恐れ入りますが」と言えば、何かあったのかと思われます。同じことです。
だから3段階を並べるのです。上を知るためではなく、自分がいつも同じ段階にいないかを確かめるために使ってください。今日、1つだけ下げてみる。それで十分です。
⚠️ 使うときの注意
⚠️ AIが出す「とても丁寧な版」は、必要以上に長くなることがあります。実際の英語のメールは、日本語より短いのがふつうです。返ってきた文が3行を超えていたら、Make it shorter. と1回打ってください。長ければ丁寧、という思い込みは、英語では途中で頭打ちになります。
英語には敬語が無い、と言われるたびに、少し違うなと思っていました。無いのは語尾だけです。丁寧さそのものは、ちゃんとあります。
ただ、日本語のように語尾を見れば分かる形をしていないので、自分で並べて比べるしかない。今日のプロンプトは、そのためのものです。
明日やることは1つです。いつも送っている英文を1つ選んで、3段階に並べてもらってください。自分がどこにいるかが分かれば、あとは上げ下げするだけです。
原田高志
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よくある質問
英語に敬語はないのですか?
語尾を変える形の敬語はありませんが、丁寧さの段階はあります。命令文を疑問文に変える、助動詞(could, would, might)を足す、文を長くする。この3つで段階が上がります。日本語のように語尾では表れないため、並べて比べると分かりやすくなります。
please を付ければ丁寧になりますか?
柔らかくはなりますが、形は命令文のままです。段階をはっきり上げたいときは、命令文をやめて Could you ~? のような疑問文にしてください。そのほうが効果があります。