ディクテーションをAIに採点させる|プロンプト3本
AI×英語|第39回
聞き取れなかった英文を書き出しても、自分では丸つけができません。どこを間違えたかより、なぜ聞き落としたかが分からないからです。今日は、書き取った英文をAIに渡して、原因まで言わせるプロンプトを3本用意しました。
監修:原田高志(原田英語.com)
ディクテーションは効く、とよく言われます。ただ、やってみると困るのが丸つけです。合っているか違うかは分かっても、なぜ聞こえなかったのかは自分では分かりません。そこをAIに言わせます。
英語の音声を聞いて書き取る。答えを見る。違っていた。それで終わっている人が、とても多いです。
困るのは、そこから先です。聞こえなかったのは、知らない単語だったからなのか。知っている語なのに音がつながって別物に聞こえたからなのか。原因が違えば、次にやるべきことも変わります。
今日の3本は、そこを埋めるためのものです。書き取った英文と正解を渡すと、AIが原因を分類して返します。
書き取った英文と正解を渡して、間違いの原因まで分類させる
聞く力が伸びる
ディクテーションの丸つけは、合っているかどうかを見るだけで終わりがちです。本当に知りたいのは、なぜ聞き落としたのかのほう。単語を知らなかったのか、音がつながっていたのか、文法で決まる形を落としたのか。原因ごとに分けてもらえば、次の一手が決まります。
You are my English listening coach.
Below are two texts. The first is the correct transcript. The second is what I wrote while listening.
CORRECT:
"""
(ここに正解の英文を貼る)
"""
MY DICTATION:
"""
(ここに自分が書き取った英文を貼る)
"""
Compare them and list every difference in this format:
違い: <my version> → <correct version>
原因: <choose ONE: 知らない語 / 音の連結 / 弱く読まれる語 / 文法で決まる形 / 単なる綴り>
ひとこと: <one short sentence in Japanese>
Then count how many times each 原因 appeared, and tell me in Japanese which ONE I should work on first.
Do NOT rewrite my whole text. Do NOT praise me. Do not give me more than eight differences. あなたは私の英語リスニングのコーチです。
下に2つの文章があります。1つ目が正解の書き起こし、2つ目が私が聞きながら書き取ったものです。
正解:
"""
(ここに正解の英文を貼る)
"""
私の書き取り:
"""
(ここに自分が書き取った英文を貼る)
"""
2つを比べて、違っているところをすべて、次の形式で並べてください。
違い: <私が書いたもの> → <正解>
原因: <次から1つだけ選ぶ: 知らない語 / 音の連結 / 弱く読まれる語 / 文法で決まる形 / 単なる綴り>
ひとこと: <日本語で短く1文>
そのあと、それぞれの原因が何回出てきたかを数えて、私がまず何に取り組むべきかを、1つだけ日本語で教えてください。
私の文章全体を書き直さないでください。ほめないでください。違いは8個までにしてください。 使いかた
- 1 英語の音声(動画でも教材でも可)を1分ぶんだけ選び、正解の字幕や原稿を用意します
- 2 音声を聞きながら、聞こえたとおりに書き取ります。分からないところは空白のままで構いません
- 3 上のプロンプトの2か所に、正解と自分の書き取りをそれぞれ貼ります
- 4 返ってきた「原因」の集計を見て、いちばん多かった1つだけを覚えて終わります
こんな形で返ってきます
入れたもの(例)
正解に I should have called you back.、書き取りに I shoulda call you back. を貼った場合
返ってくる形(抜粋)
違い: shoulda call → should have called 原因: 音の連結 ひとこと: should have は「シュダヴ」とつながり、have がほぼ消えます。 違い: call → called 原因: 文法で決まる形 ひとこと: have のあとなので過去分詞になります。音でも d が弱く残ります。 集計: 音の連結 1回 / 文法で決まる形 1回 まず取り組むこと: 助動詞+have のかたまりを、音のまま覚えることです。
返ってきたら、この一言を続ける
-
Give me five more sentences that use the same sound pattern I missed.
私が聞き落としたのと同じ音のつながりを使った文を、あと5つ作ってください。
-
Read my dictation aloud as I wrote it, and tell me what it would actually mean.
私が書いたとおりに読み上げて、それが実際にはどういう意味になるか教えてください。
聞き落とした語だけを集めて、音から覚え直す小テストを作らせる
単語力が伸びる
ディクテーションで落ちた語は、目で見れば知っている語であることがほとんどです。つまり、意味を覚え直す必要はありません。必要なのは、その語が文の中でどう鳴るかのほう。だから小テストも、意味ではなく音で作らせます。
Here is a list of words I failed to catch while listening:
"""
(ここに聞き取れなかった語を、カンマで区切って貼る)
"""
For each word, do three things:
1. Write one short sentence (under 10 words) where the word is spoken quickly and naturally.
2. Show how it actually sounds in that sentence, using simple katakana.
3. Say in Japanese, in one line, what makes it hard to catch.
Then make a 5-question quiz. For each question, show only the katakana sound, and ask me which word it is.
Do NOT give me dictionary definitions. Do NOT show the answers until I ask. 以下は、私が聞き取れなかった語のリストです。
"""
(ここに聞き取れなかった語を、カンマで区切って貼る)
"""
それぞれの語について、3つのことをしてください。
1. その語が速く自然に発音される、10語未満の短い文を1つ書く。
2. その文の中で実際にどう聞こえるかを、簡単なカタカナで示す。
3. なぜ聞き取りにくいのかを、日本語で1行だけ書く。
そのあと、5問の小テストを作ってください。各問ではカタカナの音だけを見せて、どの語かを私に当てさせてください。
辞書の定義は書かないでください。私が頼むまで答えを見せないでください。 使いかた
- 1 1本目のプロンプトで出てきた「聞き落とした語」を、そのままコピーします
- 2 5語から8語くらいにしぼって貼ります。多すぎると1語あたりが薄くなります
- 3 返ってきたカタカナを見ながら、声に出して読みます。目ではなく口で確かめます
- 4 小テストに答えたあと、Show me the answers. と打って答え合わせをします
こんな形で返ってきます
入れたもの(例)
would, of, at, them, going
返ってくる形(抜粋)
would 文: I would if I could. 音: アイウッディファイクッド ひとこと: would の l は読まれず、次の if とつながって1語に聞こえます。 them 文: I told them about it. 音: アイトールドゥムバウティット ひとこと: them の th が落ちて「ドゥム」になり、語の切れ目が消えます。
返ってきたら、この一言を続ける
-
Now quiz me on these words without showing the sentences.
さっきの例文は見せずに、この単語の小テストを出してください。
-
Combine three of these words into one natural sentence.
この中の3つの単語を、1つの自然な文にまとめてください。
同じ英文を自分で読み上げ、原稿との差だけを指摘させる
話す力が伸びる
聞き取れない音は、たいてい自分でも出せていません。逆に、自分で出せるようになった音は、聞こえるようになります。書き取りで落とした文をそのまま音読の材料にして、AIには直すところだけを言わせます。
I will type out how I read a sentence aloud, spelling it the way it came out of my mouth.
TARGET SENTENCE:
"""
(ここに正しい英文を貼る)
"""
HOW I READ IT:
"""
(自分の口から出たとおりに、カタカナかローマ字で書く)
"""
Tell me, in Japanese:
1. Which two places differ most from natural speech.
2. For each, one physical instruction about my mouth, tongue, or breath.
3. One short phrase I can repeat ten times to fix it.
Do NOT comment on my grammar. Do NOT list more than two places. ある文を声に出して読んだとき、自分の口から出たとおりに書き起こして渡します。
目標の文:
"""
(ここに正しい英文を貼る)
"""
自分が読んだとおり:
"""
(自分の口から出たとおりに、カタカナかローマ字で書く)
"""
日本語で次を教えてください。
1. 自然な話し方といちばん違う2か所。
2. それぞれについて、口・舌・息の動かし方の指示を1つずつ。
3. それを直すために10回くり返せる、短いフレーズを1つ。
文法については何も言わないでください。2か所より多く挙げないでください。 使いかた
- 1 1本目で落とした文を1つ選びます。長い文より、短くて悔しかった文を選んでください
- 2 声に出して読み、自分の口から出た音をカタカナで正直に書き起こします
- 3 2か所だけ直します。全部直そうとすると、1つも身につきません
- 4 最後に渡された短いフレーズを、その場で10回言います
こんな形で返ってきます
入れたもの(例)
目標が Let me know what you think.、自分の読みが「レット ミー ノウ ワット ユー シンク」だった場合
返ってくる形(抜粋)
違う場所1: Let me 口の動かし方: t を言い切らず、舌を歯ぐきにつけたまま止めて、すぐ m に移ってください。「レッミー」になります。 違う場所2: what you 口の動かし方: t と y がぶつかると「チュ」になります。口を少しすぼめて「ワッチュ」と出してください。 10回くり返す言葉: レッミーノウ ワッチュ スィンク
返ってきたら、この一言を続ける
-
Give me two more sentences with the same two problems.
同じ2つの問題が入った文を、あと2つ作ってください。
-
Say it back to me slowly, marking where I should not stop.
どこで切らないほうがよいかを示しながら、ゆっくり読み上げてください。
AI相手に、声に出してみる
音声を聞いて、そのまま真似してください。AIとの英会話は、この一言から始まります。
Can you tell me what I missed, not what I got right?
合っていたところではなく、落としたところを教えてもらえますか。
Explain it in Japanese, but keep the example in English.
説明は日本語で、例文は英語のままにしてください。
That was too long. Give me the same answer in three lines.
長すぎました。同じ内容を3行で言ってください。
AI時代の英語学習、ここだけは
1回に渡す音声は、1分まで
ディクテーションを5分ぶん渡すと、違いが40か所くらい返ってきます。全部直そうとして、1つも残りません。
1分でじゅうぶんです。違いが5つから8つに収まる長さが、いちばん身につきます。長い教材を使いたいときも、切って渡してください。
「合っていますか」と聞かない
AIに「これで合っていますか」と聞くと、たいてい合っていることにされます。聞き方が、答えを決めてしまいます。
代わりに「違うところを挙げて」「原因を1つだけ選んで」と、仕事の形を指定して渡してください。今日の3本が全部そうなっているのは、そのためです。
直すのは、いつも1つだけ
返ってきた指摘が8個あっても、明日までに直すのは1つで構いません。むしろ1つにしてください。
1本目のプロンプトの最後に「まず何に取り組むべきか1つだけ」と書いたのは、選ばせないと全部やろうとしてしまうからです。今日やることは1つ。それを3日続けたほうが、8個を1日でやるより残ります。
⚠️ 使うときの注意
⚠️ AIが書き起こした「正解」をそのまま信じないこと。音声から文字を起こす機能は、固有名詞と数字をよく間違えます。正解の原稿は、教材についているもの、あるいは公式の字幕を使ってください。AIに両方やらせると、間違った正解で採点されます。
ディクテーションがつらいのは、できなかったことだけが残るからだと思います。10文書いて、7文しか合わない。その3文が、ただの失点として積み上がっていきます。
ですが原因で分けてしまえば、3文は3種類の宿題になります。失点は減らせませんが、宿題は終わらせられます。今日はまず1分ぶんから試してみてください。
原田高志
動画で見る
よくある質問
ディクテーションはどれくらいの長さでやるのがいいですか?
1回1分ぶんで十分です。5分ぶんを渡すと違いが数十か所返ってきて、どれも直せないまま終わります。違いが5〜8か所に収まる長さが、いちばん身につきます。
AIに音声そのものを渡して書き起こしてもらってもいいですか?
正解の原稿としては使わないでください。音声からの書き起こしは固有名詞や数字を間違えやすく、誤った正解で採点されることになります。教材付属の原稿か、公式の字幕を使ってください。