絶対に笑わないAI英会話|プロンプト3本
AI×英語 第1回
英会話が続かない理由の第一位は、恥ずかしさです。相手が人間だと、間違えた瞬間に顔が赤くなる。AIはそこがまったくありません。この回では、AIを英会話の相手役にするプロンプトを3本お渡しします。言えなかった一言をその場で3通りに直してもらう、1往復ごとに添削が入るロールプレイをする、自分の英語が相手にどう聞こえているか判定させる。全部そのままコピーして使えます。
監修:原田高志(原田英語.com)
今日から始まる新コーナーです。AIを使って英語力を伸ばすためのプロンプトを、毎回そのままコピーできる形でお渡ししていきます。第1回のテーマは英会話。「言いたいのに口から出ない」という、あの一番くやしい瞬間を、AIに何とかしてもらいましょう。
英会話が続かない理由を生徒に聞くと、返ってくる答えはだいたい同じです。「間違えるのが恥ずかしい」。
文法を知らないから話せないのではありません。知っているのに、口を開く手前で止まってしまう。止めているのは、相手の顔です。
その点、AIは便利です。あきれません。話をさえぎりません。同じことを5回聞いても、5回とも同じ調子で答えます。英会話の練習相手として、これほど都合のいい存在はありません。
ただし、ただ「英語で話しかけて」と頼んでも、当たりさわりのない雑談が返ってくるだけで終わります。指示の出しかたで、返ってくるものが変わります。今日は3本、そのまま貼れる形でお渡しします。
言えなかった一言を、やさしい順に3通りで出してもらう
話す力が伸びる
会話の途中で「これ、英語で何て言うんだろう」と詰まる瞬間があります。あとで調べようと思って、たいてい忘れます。
このプロンプトは、その一言を3段階の言い方で返させるものです。①いま自分が確実に言える形、②自然な形、③ネイティブが実際に言う形。自分の現在地と、次の一歩が同時に見えるのがこの3段階の狙いです。いきなり③を覚えようとしないでください。
You are a friendly English conversation coach for a Japanese learner.
I will tell you, in Japanese, something I wanted to say in English but could not.
Give me THREE English versions, in this order:
1. SURVIVAL — the simplest version. Only words a Japanese junior high school student knows. It may sound plain, but it must be correct and it must work.
2. NATURAL — how an ordinary adult speaker would say it in everyday conversation.
3. REAL — what a native speaker would actually say, including any common contraction, filler, or idiom.
For each version, add one short line in Japanese explaining what changed and why.
Then finish with:
- One sentence in Japanese: which version I should practice first, and why.
- The pronunciation of the tricky part, written in katakana.
Do not give me more than three versions. Do not lecture me about grammar.
Here is what I wanted to say:
"""
(ここに日本語で書く。例:「そこまで気にしなくていいと思うよ」)
""" あなたは、日本人学習者のための、親しみやすい英会話コーチです。
英語で言いたかったけれど言えなかったことを、これから日本語で伝えます。
次の順番で、英語を3通り出してください。
1. SURVIVAL(生き残り版):いちばんやさしい言い方。日本の中学生が知っている単語だけで作ってください。素っ気なく聞こえてもかまいませんが、正しくて、ちゃんと通じるものにしてください。
2. NATURAL(ふつう版):大人が日常会話でふつうに言う言い方。
3. REAL(本物版):ネイティブが実際に口にする言い方。短縮形、つなぎの言葉、決まり文句が入っていてかまいません。
それぞれに、何をどう変えたのかを日本語で1行つけてください。
最後に、次の2つで締めてください。
- どれから練習すべきか、その理由を日本語で1文。
- 言いにくいところの発音を、カタカナで。
3通りより多く出さないでください。文法の講義もしないでください。
言いたかったのは、これです:
"""
(ここに日本語で書く。例:「そこまで気にしなくていいと思うよ」)
""" 使いかた
- 1 上のプロンプトをコピーして、AIに貼り付ける
- 2 いちばん下の三重引用符の中に、言いたかった日本語を1つだけ入れる(2つ以上入れると解説が薄くなります)
- 3 返ってきた3つのうち、①だけを声に出して5回言う。②と③は読むだけでかまいません
- 4 翌日もう一度同じ日本語を自分で英語にしてみて、①が口から出たら次は②へ進む
こんな形で返ってきます
入れたもの(例)
そこまで気にしなくていいと思うよ
返ってくる形(抜粋)
1. SURVIVAL — You don't have to worry so much. (中学英語だけ。don't have to で「〜しなくていい」) 2. NATURAL — I wouldn't worry about it too much. (主語を I にして「私なら気にしない」。押しつけが消えます) 3. REAL — I wouldn't sweat it. (sweat=汗をかく。「汗かくほどのことじゃない」) ▶ まずは1を練習してください。2と3は、1が確実に出るようになってからで間に合います。 ▶ wouldn't の発音:ウドゥントゥ(l は読みません)
返ってきたら、この一言を続ける
-
Give me two situations where version 3 would sound rude.
こなれた言い方ほど、使う相手を選びます。失敗する場面を先に聞いておくと、事故が減ります。
-
Now quiz me: say a Japanese sentence and wait for my English.
読んで終わりにせず、その場で出題側に回らせる一言。5問も続ければ口が覚えます。
1往復ごとに添削が入るロールプレイをさせる
話す力が伸びる
AIと英語で雑談すると、たしかに会話は続きます。でも間違えたまま最後まで行ってしまうので、練習にはなりません。AIは親切なので、こちらのつたない英語を黙って理解してくれるのです。
そこで、AIに相手役とコーチ役の二役をやらせます。1往復ごとに、いま自分が言った英語の直しが小さく入る。会話を止めずに、直しだけが横から差し込まれる形になります。
You are going to play TWO roles at the same time.
ROLE A — Conversation partner.
We are in this situation: 【ここに場面を書く。例:I am at a hotel front desk in London, asking to change my room.】
Speak naturally, one or two sentences at a time. Never write more than three sentences. Always end your turn with a question so the conversation keeps going.
ROLE B — Coach.
After every one of my replies, add a short block like this, in Japanese:
---
直し: (my sentence) → (better version)
理由: (one short line, in Japanese)
次の一手: (one English phrase I could use in my next turn)
---
Rules:
- Stay in the situation. Do not stop the roleplay to explain grammar.
- If my English is already fine, write 直し: OK and give me a harder phrase to try.
- Keep your own English at CEFR B1 level unless I ask you to raise it.
- Start now with ROLE A. Do not explain these rules back to me. あなたには、2つの役を同時に演じてもらいます。
役A:会話の相手。
場面はこれです: 【ここに場面を書く。例:ロンドンのホテルのフロントで、部屋を替えてほしいと頼んでいる】
自然に、1〜2文ずつ話してください。3文を超えないこと。会話が続くように、必ず質問で自分の番を終えてください。
役B:コーチ。
私が返事をするたびに、日本語で次の形の短い枠を足してください。
---
直し: (私の文) → (よりよい言い方)
理由: (日本語で1行)
次の一手: (次の番で使えそうな英語のひとこと)
---
ルール:
- 場面から出ないこと。ロールプレイを止めて文法の説明を始めないこと。
- 私の英語に問題がなければ「直し: OK」と書き、もう少し難しい言い方を渡してください。
- あなたの英語は、私が頼まない限り CEFR B1 の高さに保ってください。
- では、役Aから始めてください。このルールを私に復唱しないこと。 使いかた
- 1 【】の中に場面を1つ書く。「機内で客室乗務員に毛布を頼む」「面接で自己紹介する」など、自分が本当に困りそうな場面にしてください
- 2 貼り付けたら、あとは英語で返事をするだけ。辞書を引かずに、間違えたまま送るのがコツです
- 3 毎回出てくる「次の一手」のフレーズを、次の返事で1回だけ使ってみる
- 4 10往復したら、最後に Summarize my three worst habits in Japanese. と打つ
こんな形で返ってきます
入れたもの(例)
I want to change my room because it is noisy too much.
返ってくる形(抜粋)
Oh, I'm sorry to hear that. Which room are you in at the moment? --- 直し: it is noisy too much → it's too noisy 理由: too は形容詞の前に置きます。too much は「量が多すぎる」ときの形です。 次の一手: Would it be possible to move to a higher floor? ---
返ってきたら、この一言を続ける
-
Summarize my three worst habits in Japanese.
10往復したあとの締め。その日の直し全部から、共通する癖だけを抜き出させます。これが一番効きます。
-
Do it again, same situation, but you speak faster and use contractions.
同じ場面をもう一度。相手の英語だけを難しくして、聞き取りの負荷を上げます。
その英語、相手にどう聞こえているかを判定させる
話す力が伸びる
文法は合っているのに、なぜか場が固まる。英語にはそういう文があります。Give me a pen. は間違いではありませんが、店で言えばかなり乱暴です。
これは学校ではあまり教わりません。教科書は正しさを教えますが、失礼かどうかまでは教えてくれないからです。このプロンプトは、自分の英語を渡して「相手の耳にどう届くか」だけを判定させるものです。海外出張やメールの前に、5秒で通せます。
You are a native English speaker helping a Japanese learner check tone, not grammar.
I will give you an English sentence. Do NOT correct the grammar unless it breaks the meaning.
Instead, answer in Japanese, in this exact format:
1. 印象: Rate it on these three scales, 1 to 5.
- 丁寧さ (1 = very blunt, 5 = very polite)
- 距離感 (1 = close friend, 5 = formal stranger)
- 強さ (1 = soft suggestion, 5 = strong demand)
2. 誰に使えるか: One line. Who can I safely say this to?
3. 危ないところ: If a listener might feel uncomfortable, say exactly which word does it. If there is no problem, say so clearly.
4. 言いかえ: Give me the same meaning at two other levels — one softer, one more direct. One line each.
Here is my sentence:
"""
(ここに自分の英文を貼る)
""" あなたは、日本人学習者の英語を、文法ではなく「相手にどう響くか」の面から見るネイティブスピーカーです。
英文を1つ渡します。意味が壊れていない限り、文法は直さないでください。
そのかわり、日本語で、次の形のとおりに答えてください。
1. 印象: 次の3つを1〜5の5段階で。
- 丁寧さ(1=ぶっきらぼう、5=とても丁寧)
- 距離感(1=親しい友達、5=かしこまった初対面)
- 強さ(1=やんわりした提案、5=強い要求)
2. 誰に使えるか: 1行で。これは誰になら安全に言えますか。
3. 危ないところ: 聞いた相手が不快に感じうるなら、どの語がそうさせるのかを名指しで書いてください。問題がなければ、はっきりそう書いてください。
4. 言いかえ: 同じ意味を、もっとやわらかい版と、もっと直接的な版で。それぞれ1行。
私の英文です:
"""
(ここに自分の英文を貼る)
""" 使いかた
- 1 海外の相手に送るメールや、会議で言う予定の一文をそのまま貼る
- 2 3の「危ないところ」だけを先に読む。問題なしと出たら、そこで終わってかまいません
- 3 4の言いかえは、自分が普段使わないほうを1つだけ選んで口に出す
- 4 同じ文を How would this sound to a British listener? と続けて聞くと、地域差も見える
返ってきたら、この一言を続ける
-
How would this sound to a British listener?
同じ英語でも、丁寧さの目盛りは国で違います。イギリス相手のときだけ、もう一度通してください。
-
Rewrite it so a busy person can read it in three seconds.
丁寧にしすぎると、今度は長くなります。短さと失礼のなさは両立します。
AI相手に、声に出してみる
音声を聞いて、そのまま真似してください。AIとの英会話は、この一言から始まります。
Can you slow down a little? I'm still getting used to this.
少しゆっくり話してもらえますか。まだ慣れていなくて。
AIにも人間にも使える一言。最初に言っておくと、そのあとが楽になります。
Sorry, how do you say this in English?
すみません、これは英語で何と言いますか。
会話を止めずに聞ける形。日本語に切り替えるより、この一言のほうが速い。
Let me try that again.
もう一度言わせてください。
言い直したいときの決まり文句。これを覚えておくと、失敗が失敗で終わりません。
Was that natural, or does it sound strange?
いまのは自然でしたか。それとも変に聞こえますか。
AI相手の練習で、いちばん使う一言。「合っていますか」より正直な答えが返ります。
AI時代の英語学習、ここだけは
AIに立場を与えると、返事の質が変わる
今日の3本とも、頭が You are ... で始まっています。これは飾りではありません。
AIは、役柄を渡されるとその役として答えます。「英語のコーチとして」と言えばコーチの言葉づかいになり、「ロンドンのホテルの受付として」と言えば受付の英語になります。何も言わなければ、誰でもない、当たりさわりのない声で返ってきます。
試しに、同じ質問を2回してみてください。1回目はそのまま。2回目は頭に You are a strict grammar teacher. と付ける。返ってくる長さも、細かさも、まるで変わります。プロンプトで最初に決めるのは、内容ではなく相手です。
「合っていますか」と聞かない
AIに英語を見せて Is this correct? と聞くと、かなりの確率で Yes が返ってきます。AIは会話の流れに沿おうとするので、こちらが期待している答えを察して、それを返してしまうのです。
聞きかたを変えるだけで直ります。
- ▼ ✕ Is this sentence natural?(自然ですか)
- ▼ ○ Which is more natural, A or B? And why?(AとBならどちらが自然ですか。理由も)
- ▼ ○ Give me two reasons this sentence might sound strange.(この文が変に聞こえる理由を2つ挙げて)
確認の形で聞かず、比較の形か、探させる形で聞く。これだけで、返ってくる情報の量が変わります。教室で生徒に発問するときとまったく同じで、答えが1つに決まる質問からは、1つぶんの答えしか返ってきません。
AIで伸びるのは、話す量だけ
正直に書いておきます。AIとの会話で伸びるのは、口を動かした量です。それ以上でも以下でもありません。
でも、これは思っているより大きな話です。日本で暮らしていて、英語を話す時間は1日に何分あるでしょうか。ほとんどの人はゼロです。ゼロが10分になれば、それは無限倍の変化です。
一方で、AIは相手の顔色を教えてくれません。話しているうちに相手が退屈しているとか、言い過ぎて空気が固まったとか、そういうことは画面越しには起きません。人と話す練習の代わりにはならないというのは、そのとおりです。
ですから、こう考えてください。AIは練習場、人は本番。素振りを1000回してから打席に立つのと、いきなり立つのとでは、まったく違います。素振りができる場所ができた。AIについて言えることは、実のところそれくらいシンプルです。
⚠️ 使うときの注意
AIが返してきた日本語の文法解説は、平気で間違えます。英文そのものはかなり正確なのに、「なぜこう直したのか」の説明だけが的外れ、ということが起こります。理由の部分は、辞書か文法書で裏を取ってください。
もうひとつ。AIの英語は、やや教科書的で、やや丁寧すぎます。実際の会話ではもっと崩れます。AIとの練習だけで完成させようとせず、映画やインタビューの英語も並行して耳に入れてください。練習場のボールと、本番の球は違います。
教室で、英語を話すのが苦手な生徒に「もっと間違えていいよ」と言い続けてきました。言われて間違えられるようになった生徒は、あまりいません。恥ずかしさは、励ましでは消えません。
AIを見ていて思うのは、消せないなら、恥ずかしくない場所を用意すればよかったのかということです。誰も見ていないところで100回間違えてから、教室で1回話す。順番としては、こちらのほうが自然な気がします。
新しい道具が出るたびに、英語教育はどうなるのかと聞かれます。私はいつも同じ答えをしています。話す量が増えるなら、それは良いことです。今のところ、それ以上のことは分かりません。
原田高志
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確認クイズ
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Q1. AIに英語を見せて意見を求めるとき、いちばん正直な答えが返ってきやすい聞きかたはどれか。
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Q2. 「言えなかった一言」を3段階で出させるプロンプトで、まず練習すべきなのはどれか。
よくある質問
音声で会話できるAIと、文字で打つのと、どちらがいいですか?
両方使ってください。役割が違います。音声は、口と耳を動かす練習になります。文字は、自分が何を言ったかが残るのが強みです。今日の2本目のロールプレイのように、1往復ごとに直しを入れさせる使いかたは、文字でないとできません。おすすめは、文字で10往復して癖をつかんでから、同じ場面を音声でやるという順番です。
無料のAIでも、これらのプロンプトは動きますか?
動きます。今日の3本は特別な機能を使っていません。文章を読んで文章を返せるAIであれば、無料のものでも同じように働きます。ただし、無料版は長い会話の途中で前半を忘れることがあります。ロールプレイが10往復を超えたあたりで返事の質が落ちてきたら、それが起きています。そのときは Remember: you are still playing the roleplay from the beginning of this chat. と打って引き戻すか、いったん締めて新しく始めてください。
生徒に使わせても大丈夫でしょうか。
2本目のロールプレイは、そのまま授業でも使えます。場面を教師側で指定して配れば、全員が同時に別々の会話を10往復できます。教室では絶対にできない量です。 ただし2点だけ。利用規約の年齢制限を必ず確認してください。サービスによって13歳以上、18歳未満は保護者の同意が必要、など条件が違います。それから、生徒が入力した内容がどう扱われるかも見ておいてください。個人が特定できることを書かせない、という一言を先に伝えるだけで、だいぶ違います。