根拠うすい🌍 世界の学習法
早くから英語をやると日本語があやしくなる
母語(日本語)が固まらないうちに英語を始めると、日本語の力が育たなかったり、どちらの言葉も中途半端(セミリンガル・ダブルリミテッド)になったりするという考え方
うたい文句「日本語もしっかりしていないうちに英語をやると、どっちつかずになる」
授業の大半がフランス語のカナダの子でも、母語の遅れは一時的だった。
- 発祥
- 日本
- 対象言語
- 日本語
- カテゴリ
- 子ども・早期英語
- ありえへん度
- ★★☆☆☆
⚖️判定の根拠 研究の結論
根拠うすい =この説を支える研究の根拠が乏しい、という意味です。
4歳から週1〜3時間の英語を受けたオランダの子どもでは、母語のオランダ語の発達に影響は見られず、大多数が年齢相応でした(Goorhuis-Brouwer & de Bot, 2010)。週に数時間の習い事くらいの英語で母語が損なわれた、という研究は見当たりません。日本の家庭で確かめた研究もまだありませんが、心配を裏づける根拠は乏しいため「根拠薄い」としました。
📚 根拠論文・メモ(4本)
根拠メモGoorhuis-Brouwer & de Bot(2010)International Journal of Bilingualism 14(3):4歳から週1〜3時間の英語を受けるオランダの1・2年生で、オランダ語(母語)の発達は影響を受けず、大多数が年齢相応。Thieme ほか(2022)Language, Culture and Curriculum 35(3):外国語を使う保育施設の系統的レビューで、母語への悪影響なしと結論(研究はまだ初期段階と留保)。カナダのフランス語イマージョン:Barik & Swain(1976)Canadian Journal of Education 1(1)、1年生の終わりに英語(母語)の読みで遅れたが、英語の授業が入ると2年生の終わりには綴り以外ほぼ追いついた。Genesee(1994, ERIC ED390284):母語の発達や学力に悪影響はない。MacSwan(2000)Hispanic Journal of Behavioral Sciences 22(1):「セミリンガル」の根拠とされた証拠を検討し、見かけだけか無関係と批判。日本:加藤学園のイマージョン課程で国語の学力テストに一般課程との差なしと報告(Bostwick 1995 ほか、当事者の報告)。週数時間の習い事程度で母語が損なわれたという実証研究は見当たらない。幼児期の英語と日本語力の因果を検証した日本の研究も見当たらない。
- Goorhuis-Brouwer, de Bot (2010) Impact of early English language teaching on L1 and L2 development in children in Dutch schoolsInternational Journal of Bilingualism, 14(3), 289–302doi.org/10.1177/1367006910367846
- Thieme, Hanekamp, Andringa, Verhagen, Kuiken (2022) The effects of foreign language programmes in early childhood education and care: A systematic reviewLanguage, Culture and Curriculum, 35(3), 334–351doi.org/10.1080/07908318.2021.1984498
- Barik, Swain (1976) Primary-grade French immersion in a unilingual English-Canadian setting: The Toronto study through Grade 2Canadian Journal of Education, 1(1), 39–58doi.org/10.2307/1494259
- MacSwan (2000) The threshold hypothesis, semilingualism, and other contributions to a deficit view of linguistic minoritiesHispanic Journal of Behavioral Sciences, 22(1), 3–45doi.org/10.1177/0739986300221001
🎓原田先生のガチ講義
👀 目から鱗ポイント
- 授業の大半をフランス語で受けたカナダの子は、1年生では英語(母語)の読みで遅れました。でも英語の授業が入ると、2年生の終わりには綴り以外ほぼ追いつきました。
- 「どっちつかずのセミリンガル」という言葉は、研究者の間で強く批判されてきた考え方で、科学的な診断名ではありません。
- 日本の英語イマージョン校でも、国語の学力テストで一般のクラスとの差はなかったと報告されています。
🙅 よくある誤解
「英語を早く始めると日本語が育たない」を示した研究は見当たりません。ただし、これは家でも社会でも日本語を毎日たっぷり使っている子の話です。海外で暮らして家でも日本語が減る場合などは、別に考える必要があります。
💡 代わりにこうする(効く版)
- 英語を始めても、日本語の絵本の読み聞かせや家族の会話はこれまでどおり大切にする
- 子どもが日本語に英単語を混ぜても、2つの言葉を使い分けている途中と考えて、あせらない
- 海外生活などで日本語にふれる量が減るときは、日本語の時間を意識して確保する
今日やること今夜は日本語の絵本を1冊、子どもと一緒にゆっくり読んでみましょう。
📝 早期英語で日本語があやしくなるのやり方
- 母語(日本語)が固まるまでは、英語は待つ
- 英語を始めるのは、日本語の読み書きが身についてからにする
🔬 早期英語で日本語があやしくなる、研究ではどうなの?
カナダのイマージョンの研究は、学校の授業の大半を母語のあとに身につける言語。研究では、外国語として学ぶ英語もふくめてこう呼ぶ。で受ける強いプログラムの話で、家ではずっと母語を使っている子どもたちです。イマージョンを選ぶ家庭には教育熱心な家庭が多い、という偏りもあります。日本の英語イマージョン校の報告も、学校の関係者によるもので、論文が雑誌にのる前に、同じ分野の専門家が内容をチェックすること。を受けた研究ではありません。「絶対に影響しない」と証明されたわけではなく、「悪影響を示す証拠が見当たらない」というのが正確です。
🤔 なぜ信じられてきた?
「日本語もしっかりしていないのに英語なんて」という考えは、とても自然に聞こえます。海外で育ってどちらの言葉も苦手になった、という体験談が「ダブルリミテッド」「セミリンガル」という言葉と一緒に広まったことも大きいです。
英語学習あるある英語教室に通わせたら、子どもが日本語の会話に英単語を混ぜはじめて、親がドキッとする。
原田先生のひとこと 先生の感想
日本語が育つのは、毎日の家族との会話と読書から。英語を少し足したくらいで、その土台がゆらぐ心配は、まずいりません。
📎出典
🤔次の判定、どっちだと思う?
予想してからタップ。答えを見たら、そのまま次へ。
最終確認日 2026-10-11/判定基準・出典
