原田先生の英語とっておきの話

「I would ask」と言われて 待ったら怒られた── will と would の 致命的な違い

⚡ BUSINESS ENGLISH TRAP

I would ask」と言われて
待ったら怒られた──
will と would
致命的な違い

230万ビュー超の大バズ投稿から学ぶ、
日本人が最もハマる「助動詞トラップ」完全攻略ガイド

入社一年目、アメリカ人の上司に質問したら
「I would ask the client.」と返された。
「聞いてくれるんだ」と思って待っていたら──
「あなたまだ聞いてないの?」と怒られた。
この体験談がXで230万ビュー・6,000いいね超の大バズ。
──たった一語 “will” と “would” の違いが、あなたのキャリアを左右する。

1230万ビュー超バズの全貌──何が起きたのか

2025年、英語系インフルエンサーのATSU(@atsueigo)氏がXに投稿した一つの体験談が、日本のSNSを震撼させました。投稿からわずか1日でいいね6,200超・リポスト540超・230万ビューを記録する大バズとなったのです。

𝕏 VIRAL POST

ATSU @atsueigo の投稿(要約)

入社一年目、アメリカ人の上司に質問すると

「I would ask the client.」

と言われたので何もしないでいると

「あなたまだ聞いてないの?」

と言われ、「あれ、聞いてくれるんじゃなかったの?」と混乱したことがあった

will と would の違いは大きい

💬 373件🔄 541件❤️ 6,293件👁 230万

この投稿に対して、さまざまな角度からの反応が寄せられました。

REACTIONS

🩺 Dr. Cat @dramerica88(アメリカで活動する医師):
アメリカで研修医するみんなは、指導医に「I would〜」と言われたらそれは「〜やっといてあげるよ」でも「自分なら〜するかな」でもなく、「次の5分で〜やっとけミスるんじゃねぇぞ」ってことだから間違えるなよ!
🗣 Hana Ku Turi @richiesadha:
would ask =「私なら聞くね(=あなたが)」
I will ask =「私が聞きます」
ここ、社会人英語の落とし穴ですよね…。
🌲 MORI(TOEIC435→990達成者):
ビジネス英語って、めちゃ難しいですね…なぜそういう意味になるのか分からなくて、ずっと考えていましたが…
「(If I were you,) I would ask the client.」ということですかね?

そう、MORIさんの指摘が核心を突いています。この「I would ask」の裏には、省略された仮定法が隠れていたのです。

💡

この一つの投稿が230万回以上見られたということは、それだけ多くの日本人が同じ混乱を経験しているということ。これは個人のミスではなく、日本の英語教育に構造的に欠けている知識の問題です。

2「I will ask」と「I would ask」──たった一語の致命的な差

まず、この二つの文を並べて見てみましょう。

I will ask the client.
「私がクライアントに聞きます」
→ 話している本人が行動する宣言
確実な未来・強い意志
⚠️
I would ask the client.
「(私があなたの立場なら)
クライアントに聞くけどね」
→ 相手への暗黙の指示・アドバイス
仮定法=「あなたがやれ」

この「I would ask」は、実は以下の文の省略形です:

(If I were you,) I would ask the client.

(もし私があなたの立場なら)クライアントに聞くだろうね。

── つまり「あなたが聞きなさい」という意味

英語のネイティブスピーカーは、「If I were you」の部分を省略しても、would を聞いた瞬間に仮定法だと理解できます。しかし日本人にとっては、would = will の過去形、という学校の知識が邪魔をして、「この人が聞いてくれるのだろう」と誤解してしまうのです。

上司の発言 日本人の解釈 ❌ ネイティブの意図 ✅
I would ask the client. 上司が聞いてくれるらしい。待とう。 お前がクライアントに聞け。今すぐ。
I would check the data first. 上司がデータを確認するんだな。 まずデータを確認しろ、という指示。
I would send an email. メールを送ってくれるみたい。 メールを送りなさい、というアドバイス。
I would apologize. 上司が代わりに謝ってくれる? あなたが謝るべきだ、という示唆。
🔑

核心ルール:英語のビジネスシーンで上司や先輩が「I would + 動詞」と言った場合、それは「私がやる」ではなく「あなたがやるべき」という暗黙の指示であることが非常に多い。would は「提案」や「アドバイス」の形をとった事実上の命令です。

3なぜ日本人はこの罠にハマるのか──3つの構造的原因

この間違いは「英語力が低いから」ではありません。TOEIC900点台の人でも、実際のビジネス現場でこの罠にハマることがあります。その原因は構造的なものです。

原因① 学校英語の「would = will の過去形」という刷り込み

日本の英語教育では、would を「will の過去形」として最初に教えます。もちろん文法的にはそうなのですが、ネイティブの実際の会話では過去形としての would はむしろ少数派。丁寧表現、仮定法、提案・アドバイスとしての would の方が圧倒的に多いのです。

学校で「仮定法」を習うのは高校に入ってから。しかもテスト対策として「If I were you, I would…」というフルセットで覚えるため、省略形(I would だけ)が仮定法だと気づけないのです。

原因② 日本語には「やんわり指示する助動詞」がない

日本語で上司が部下に指示する時、「〜してください」「〜しなさい」「〜した方がいいよ」と直接的に言います。「私だったら〜するけどね」という言い方で指示を出すことは、日本語ではかなり稀。

一方、英語圏の職場文化では、直接的な命令よりも「提案」の形をとる方が丁寧とされています。つまり「I would…」は、英語圏における「〜していただけますか」レベルの丁寧な指示なのです。

原因③ 英語の「婉曲表現文化」への無理解

英語圏(特にイギリス英語)には、直接的に言えば言うほど失礼・攻撃的に聞こえるという感覚があります。「Do it now.」より「I would do it now.」の方が丁寧。しかし丁寧だからといって緊急度が低いわけではない

これは日本語の敬語に似ています。「恐れ入りますが、至急ご対応いただけますでしょうか」は丁寧だけど緊急、というのと同じ構造です。

COMPARISON

英語の「丁寧さ」と「緊急度」は別軸

表現 丁寧度 緊急度 日本語ニュアンス
Ask the client. 🔥🔥🔥 クライアントに聞け。(命令)
You should ask the client. ⭐⭐ 🔥🔥🔥 聞いた方がいいよ。(強い助言)
I would ask the client. ⭐⭐⭐ 🔥🔥🔥 私なら聞くけどね。(丁寧だが実質指示
You might want to ask the client. ⭐⭐⭐⭐ 🔥🔥 聞いてみてもいいかもね。(柔らかい提案)

4医療現場でも起きている──would の誤解は命に関わる

ATSUさんの投稿に対して、アメリカで活動する医師のDr. Cat氏が衝撃的なリプライを残しました。「I would〜」の誤解は、医療現場では文字通り命に関わるというのです。

⚠️ CRITICAL SCENARIO

アメリカの病院、指導医と研修医の会話──

指導医(Attending):
“I would order a CT scan for this patient.”
この患者にはCTスキャンをオーダーするかな。
日本人研修医の誤解 ❌:
「先生がCTをオーダーしてくれるんだ。待っていよう。」
→ 結果:CTがオーダーされず、診断が遅れる
正しい解釈 ✅:
「今すぐCTをオーダーしろ」という指示。5分以内に行動すべき。
→ 結果:速やかな検査実施、適切な治療開始

Dr. Cat氏の解説が非常に重要です。アメリカの医療現場において「I would〜」は、丁寧だが即時行動が求められる指示。「〜やっといてあげるよ」でも「自分なら〜するかな」でもなく、「次の5分で〜やっとけ」というのがネイティブの受け取り方なのです。

💡

英語圏の職場では、立場が上の人ほど婉曲的に指示を出す傾向があります。直接的な命令は「最後の手段」。would を使った提案形式の指示は、部下の自主性を尊重する丁寧な形ですが、行動を期待していることに変わりはありません

5would の「隠れた顔」を全解剖──5つの意味を完全整理

would がこれほどの混乱を引き起こす根本原因は、would が一つの単語で5つ以上の意味を持っていること。学校で習うのは主に①②だけですが、実際のビジネスでは③④⑤が頻出します。

学校で習う ✅

① will の過去形(時制の一致)
He said he would come. = 彼は来ると言っていた。
間接話法で「He said “I will come.”」を過去時制に合わせたもの。これは日本人も正しく理解できる。

学校で習う ✅

② 丁寧な依頼・希望
Would you open the door? = ドアを開けていただけますか?
「Will you〜?」の丁寧版。I would like to = I want to の丁寧版。ここも問題なし。

⚠️ 学校で習わない – 今回の罠

③ 仮定法の省略形(=暗黙の指示・アドバイス)
I would ask the client. =(私があなたなら)クライアントに聞く。
今回の大バズの原因。「If I were you」が省略され、would だけが残った形。ネイティブはこれを聞いた瞬間に仮定法だと認識するが、日本人は「この人がやってくれるのか」と誤解する。ビジネスでの最大の落とし穴。

要注意

④ 控えめな推量(〜だろう)
That would be great. = それはいいですね。
will(〜だろう)より確信度が低い推量。「たぶん」「おそらく」というニュアンス。ビジネスメールで非常に多い。

要注意

⑤ 過去の習慣(〜したものだ)
I would play outside every day. = 毎日外で遊んだものだ。
過去の懐かしい習慣を語る用法。used to と似ているが、やや文学的・ノスタルジック。

6ネイティブの「やんわり指示」パターン15選

英語圏の上司・先輩が使う「丁寧だけど実質的には指示」というフレーズを知っておくことは、ビジネス英語サバイバルの必須スキルです。

🔴 would を使った暗黙の指示

❶ I would double-check those numbers.
→ 数字を再確認しなさい。(ミスがある可能性を示唆)
❷ I would run this by legal first.
→ まず法務に確認を通しなさい。
❸ I would prioritize the client meeting.
→ クライアントとのミーティングを優先すべき。
❹ I would keep the CEO in the loop.
→ CEOにも共有しておきなさい。
❺ I wouldn’t send that email without proofreading.
→ 校正なしでそのメールを送るな。(否定形の would = やめておけ)

🟡 would 以外の「やんわり指示」表現

❻ You might want to reconsider the timeline.
→ スケジュールを見直すべきだ。(might want to = した方がいい)
❼ It might be worth reaching out to the vendor.
→ ベンダーに連絡すべきだ。(it might be worth = やる価値がある)
❽ Have you thought about adding a risk assessment?
→ リスク評価を追加しろ。(疑問形= していないなら、せよ)
❾ It could be helpful to get a second opinion.
→ セカンドオピニオンを取りなさい。
❿ I’m not sure that’s the best approach.
→ そのやり方はダメだ。変更しろ。(否定= やり直し指示)

🔵 上級編:超婉曲な「実質命令」

⓫ I wonder if we should involve marketing.
→ マーケティング部門を巻き込め。(I wonder = 実質的な提案)
⓬ It’s interesting that the budget hasn’t been updated.
→ 予算を更新しろ。(interesting = 問題だと思っている)
⓭ I trust you’ll handle the client follow-up.
→ クライアントのフォローアップはお前に任せた。(信頼= 責任の委譲)
⓮ Would you pop by my office when you have a moment?
→ すぐ来い。(英国式超婉曲。「時間がある時に」≠ 暇な時でいい)
⓯ That’s one way to look at it.
→ あなたの見方は間違っている。(肯定的に見えて実は否定)

覚えておくべき黄金ルール:英語圏のビジネスでは、表現が丁寧であればあるほど、裏の意図を注意深く読む必要がある。特に上司・クライアント・先輩からの発言は、柔らかい言い回しの中に具体的な期待・指示が込められていることが多い。

7似たような罠に注意!will/would 以外の「助動詞トラップ」

would だけでなく、英語の助動詞には日本人が陥りやすいトラップが他にもあります。

表現 日本人の誤解 ネイティブの意図
You could try a different approach. 試すこともできるかもね(任意) 違うアプローチにしなさい(指示)
You should probably update the report. 更新した方がいいかも(提案) レポートを更新しろ(指示)
That might need another look. もう一回見る必要があるかも(曖昧) やり直せ(明確な指示)
I’m not entirely convinced by this analysis. 完全には納得できないなぁ(感想) この分析はダメだ。作り直せ。

“In English, the more polite the phrasing, the more you need to read between the lines.”

「英語では、表現が丁寧であればあるほど、行間を読む必要がある」

── 英語圏の異文化コミュニケーション研究者の間でよく引用される原則

8「行間を読む力」を鍛える──ネイティブ思考トレーニング

「I would…」を正しく理解するための具体的なテクニックを紹介します。

テクニック①:「主語は誰の行動を指しているか?」を常に問う

上司があなたに言った:

“I would reach out to the Tokyo office about this.”

自問すべきこと:

この「I」は文字通り「上司自身」のこと?
NO。上司は自分がやるなら「I will reach out」と言う。
→ would を使っているということは仮定法。「私があなたの立場なら」という意味。
→ つまり「あなたが東京オフィスに連絡しなさい」という指示。

テクニック②:迷ったら確認する「魔法のフレーズ」

would の意味がわからない時、黙って待つのは最悪の選択肢。代わりに確認のフレーズを使いましょう。

“Just to clarify – would you like me to do that?”
確認ですが、私がやるべきですか?
“So you’d suggest I reach out to them directly?”
つまり、直接連絡した方がいいということですか?
“Got it – I’ll take care of that right away.”
了解です。すぐ対応します。(指示だと理解した旨を伝える最速フレーズ)

テクニック③:will と would の「決定的な違い」を体に叩き込む

🎯
will = 現実の世界
実際にやります」
確定した未来・強い意志
話し手本人が行動する
“I will do it.” = 俺がやる
💭
would = 仮想の世界
もし私ならこうする」
仮定・想像・控えめな表現
相手への提案・暗黙の指示
“I would do it.” = お前がやれ

まとめ──would を制する者が、ビジネス英語を制する

たった一語の助動詞。しかしその一語が、
あなたの評価・キャリア・信頼関係を左右する。

「I will」= 私がやる。「I would」= あなたがやるべき。
would は仮定法の省略形。「If I were you」が隠れている
英語圏では「丁寧な表現 ≠ 緊急度が低い」
上司の would は「提案」の顔をした「実質命令」
迷ったら “Just to clarify – would you like me to do that?” で確認
will = 現実世界、would = 仮想世界、と覚えれば一生迷わない

230万人が共感した「would の罠」。
この記事を読んだあなたは、もう二度とハマらない。