
海外旅行中のあなた。ある素敵なレストランで「4名様以上なら、景色の良い個室を使えますよ」という案内を見つけました。
「ラッキー!ちょうど4人だ!」
意気揚々と店員さんに伝えると、返ってきたのはまさかの一言。
「Sorry, a private room is for more than four people.(申し訳ありません、個室は4名様より多いお客様向けです)」
──え、4人じゃダメなの!?
こんな悔しい経験、もしくはそれに近いモヤモヤを感じたことはありませんか?
多くの日本人が一度はつまずく、英語の数量表現の罠。それは単なる知識不足ではなく、日本語と英語の「感覚のズレ」が原因だったのです。
この記事を読めば、そのズレが解消され、二度と数量表現で迷うことはなくなります。
✅ この記事で分かること
- “more than 4” がなぜ4を含まないのか、その根本的な理由
- ネイティブがどう使い分けているかのリアルな感覚
- どんな場面でも絶対に間違えない【禁断のルール】
- 応用編:”over” と “more than” の微妙なニュアンスの違い
【結論】”more than 4″ は、断じて “4” を含まない!
もったいぶるのはやめましょう。核心からお伝えします。
“more than 4” は「4より大きい」という意味なので、4は含みません。
数学の不等号で表すと 「> 4」。つまり、5、6、7…を指す言葉です。
同様に、“less than 4” は「4より小さい」ので、4を含みません。
不等号では 「< 4」。3、2、1…がこれにあたります。
「じゃあ、日本語の『4以上』って言いたい時はどうするんだ!」
その声、痛いほど分かります。実は、私たちが混乱する原因は、便利な日本語の「以」という漢字にあるのです。
日本人がハマる「以上・以下」の罠
日本語では、基準点を含むかどうかを「以」という漢字一つで区別しています。
4以上 → 4, 5, 6… (「以」がつくので4を含む)
4を超える → 5, 6, 7… (「以」がつかないので4を含まない)
この便利な「以」の存在が、英語学習の際に私たちを惑わせます。
“more than” を見ると、つい「以上」という日本語が頭に浮かびますが、これが間違いの始まり。”than” という単語が持つ、もっと根源的なイメージを掴む必要があります。
禁断のルール:『thanは仲間はずれ』と覚えよ!
ここで、あなたの英語人生を変えるかもしれない、たった一つのシンプルなルールを伝授します。
“than” がついたら、その数字は仲間はずれ(含まない)!
なぜか? “than” は、そもそも何かと何かを「比較して引き離す」役割を持つ単語だからです。「A is bigger than B」は、「AはBとは違って大きい」という分離のニュアンスを持っています。
だから “more than 4” は、「4という基準点とは違って、それより多い」という意味になり、必然的に4は仲間から外れるのです。
じゃあ「4を含む」はどう言うの?救世主あらわる
ご安心ください。もちろん「以上/以下」を表現する便利な言葉も存在します。
ここで登場するのが、”at least” や “or more” です。
“at” や “or” がついたら、その数字も仲間に入れる(含む)!
4以上 (≧ 4) → at least 4 / 4 or more
4以下 (≦ 4) → at most 4 / 4 or less
“at least” は「少なくとも」という意味なので、基準点が出発点になるのは自然ですよね。”4 or more” は「4、あるいはそれより多い数」と、言葉通りなので非常に分かりやすい表現です。
【応用編】”over/under” と “more/less than” の違いって?
「待ってくれ、”over 4″ とか “under 4” も聞くぞ?」
素晴らしい質問です。これらは “more than” “less than” とほぼ同じ意味(4を含まない)で使われますが、微妙なニュアンスの違いがあります。
over / under: ある境界線や基準点を「超える/下回る」イメージ。年齢、身長、温度、速度など、物理的な「しきい値」があるものと相性抜群です。
You must be over 120cm to ride. (身長120cmを超えている必要がある)
The temperature is under zero. (気温は氷点下だ)
more than / less than: より抽象的な数量や概念にも使える、オールマイティな表現です。
It costs more than I expected. (私が予想したよりお金がかかる)
迷ったら “more than / less than” を使っておけば間違いありませんが、この違いを知っていると、よりネイティブらしい表現ができます。
【完全攻略チャート】この画像を保存せよ!
さあ、総仕上げです。これであなたの知識は完璧になります。このチャートはスクリーンショット推奨です!
日本語 | 意味 (基準点) | 英語表現 | 記号 | こんな時に使う! |
---|---|---|---|---|
〜を超える | 含まない | more than, over | > | I have more than 10,000 followers. (フォロワーが1万人を超えた) |
〜以上 | 含む | at least, or more | ≧ | You need a score of 80 or more. (80点以上が必要です) |
〜未満 | 含まない | less than, under | < | This item is under $10. (この商品は10ドル未満です) |
〜以下 | 含む | at most, or less | ≦ | Please answer in 100 words or less. (100語以下で答えてください) |
<まとめ>言葉のルールは、文化のルール
“more than 4″ が4を含まないのは、単なる文法ルールではありません。それは、”than” という単語が持つ「比較と分離」の感覚からくる、英語圏の文化的なルールなのです。
✅ thanが付いたら仲間はずれ(比較して引き離すから)
✅ at/orが付いたら仲間に入れる(出発点にしたり、選択肢に入れるから)
この感覚さえ掴んでしまえば、もうあなたは数量表現で迷うことはありません。それどころか、契約書のような厳密な文書から、友達とのカジュアルな会話まで、自信を持って正確なコミュニケーションが取れるようになります。
たかが数量、されど数量。この小さな知識が、あなたの英語の世界を大きく広げる「武器」になることをお約束します。