原田先生の英語とっておきの話

【e.g. / i.e. / ex. / cf.】英語略語の意味は?違いと使い分けを徹底解説!

英語の論文やビジネスメールで突然現れる「e.g.」や「i.e.」。

「何となく『例えば』って意味でしょ?」と流し読みしているあなた、実は大きな誤解をしているかもしれません。これらの略語は、似ているようで全く異なる意味を持ち、使い方を間違えると、意図が正しく伝わらないどころか「教養がない」と思われてしまう可能性も…。

今回は、そんな紛らわしい英語略語たちの意味を徹底的に解剖します。この記事を読み終える頃には、あなたは自信を持ってこれらの略語を使いこなし、ワンランク上の知的な英語表現を手に入れていることでしょう。

✅ この記事で分かること

  • 【e.g. / i.e. / ex. / cf.】それぞれの正確な意味と使い分け
  • 絶対に間違えてはいけない「e.g.」と「i.e.」の決定的違い
  • その他、知っておくべき重要略語【etc. / N.B. / et al.】

【e.g.】- 具体例を挙げたいときの「例えば」

最もよく見かける略語の一つですね。これはラテン語の “exempli gratia” の略で、「例えば」を意味します。

ポイント:多くの選択肢の中から、いくつかの具体例を示すときに使います。あくまで「例」なので、全てを網羅しているわけではありません。

例文:
There are many beautiful cities in Japan, e.g., Kyoto, Kanazawa, and Nara.
(日本には美しい都市がたくさんあります。例えば、京都、金沢、奈良などです。)
→ 美しい都市は他にもたくさんあるが、その中から3つを例として挙げています。

【i.e.】- 言い換えたいときの「すなわち」

「e.g.」と最も混同されやすいのが、この「i.e.」です。これはラテン語の “id est” の略で、「すなわち」「言い換えれば」「つまり」を意味します。

ポイント:前述した内容を、別の言葉でより具体的に、あるいは分かりやすく説明し直すときに使います。「A=B」の関係で、AとBが指すものは同じです。

例文:
The price is $50, i.e., half of the original price.
(価格は50ドル、すなわち元の価格の半額です。)
→「50ドル」と「元の価格の半額」は、全く同じものを指しています。

⚠️【e.g.】と【i.e.】の絶対的な違い

e.g. = for example (例を挙げる)
例:I love citrus fruits, e.g., oranges and lemons. (柑橘系の果物が好き。例えばオレンジやレモン) → 柑橘系は他にもある。

i.e. = in other words (言い換える)
例:I’m going to the city that never sleeps, i.e., New York City. (眠らない街、すなわちニューヨーク市に行きます) → 眠らない街 = ニューヨーク市。

【ex.】- 口語的な「例えば」

これは単純に “example” の略です。意味は「e.g.」とほぼ同じ「例えば」ですが、使われる場面が少し異なります。

ポイント:「e.g.」が論文や契約書などフォーマルな文章で好まれるのに対し、「ex.」はメモ書きや、ややカジュアルな文脈で使われる傾向があります。迷ったら「e.g.」を使うのが無難です。

例文:
Check out my blog for more info (see ex. 3 for details).
(詳しくは私のブログをチェックしてください(詳細は例3を参照)。)

【cf.】- 比較・対照してほしいときの「参照せよ」

学術論文で頻出する略語です。これはラテン語の “confer” の略で、「比較せよ」「対照せよ」という意味を持ちます。

ポイント:単に「見てください」という “see” とは異なり、「ここに書かれていることと、これから示す文献の内容を比較・対照して、深く考察してほしい」という、書き手の強い意図が含まれています。

例文:
Our results showed a significant increase (cf. Tanaka, 2023, which reported a decrease).
(我々の結果は著しい増加を示した(減少を報告したTanaka, 2023と比較対照せよ)。)

【その他】これだけは押さえたい!頻出略語3選

上記以外にも、知っておくと非常に便利な略語をご紹介します。

1. etc. (et cetera)

「~など」「その他」を意味します。e.g. が文中で使われるのに対し、etc. は列挙した項目の最後に置かれるのが一般的です。注意点として、”e.g.” と “etc.” は意味が重複するため、一緒には使いません。

2. N.B. (nota bene)

ラテン語で「よく注意せよ」を意味し、「追伸」「注意」といったニュアンスで使われます。文章の中で、読み手に特に注意を促したい重要なポイントを示すときに使います。

3. et al. (et alii / et aliae / et alia)

「~とその他の人々」を意味し、主に論文などで複数の著者がいる場合に、筆頭著者以外の名前を省略するために使われます。(例: “Sato et al.” は「佐藤、他」)

<まとめ>略語を制する者は、英語を制す

今回解説した略語を、改めて一覧で確認しましょう。

e.g. (exempli gratia) → 例えば(多くの例の中から一部を挙げる)

i.e. (id est) → すなわち(同じものを言い換える)

ex. (example) → 例えば(e.g.より口語的)

cf. (confer) → 比較・参照せよ(比較・対照を促す)

etc. (et cetera) → ~など(列挙の最後に置く)