パイナップル1個がとれるまで、植えてから1年半〜2年かかる
定番雑学の"その先"No.208

パイナップル1個がとれるまで、植えてから1年半〜2年かかる

パイナップル1個は、50〜200ほどの花の集まり。

ホントTRUE

この判定の対象「パイナップル1個がとれるまで、約2年かかる」

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もくじ
  1. パイナップル1個がとれるまでには、植えてから1年半〜2年かかる
  2. パイナップルの実は、50〜200ほどの花がくっついてできている
  3. 多くのパイナップル畑では、花を咲かせる日を人が薬で決めている
  4. パイナップルの花を咲かせる方法は、煙に当たった畑で見つかった
  5. 深掘り講義
  6. まとめ
  7. 英語で読む(A2・4択5問)
  8. 出典・ウラ取り

パイナップルを畑に植えてから、実を1個収穫するまでに、どれくらいかかるでしょうか。フロリダ大学の園芸の解説によると、18〜24か月です。つまり1年半から2年かかります。亜熱帯の地域では、18〜36か月かかることもあります。

しかも、その1年半〜2年の間に1つの株が作る実は、茎の先にできる1個だけです。1個の実は、もともと50〜200ほどの花の集まりでした。花の1つ1つが小さな実になり、それがくっついて、あの大きな実になるのです。

そして、多くのパイナップル畑では、花を咲かせる日を人が決めています。薬を使って、株に一斉に花を咲かせるのです。この方法は、煙に当たった畑で花が咲いたことから見つかりました。

この記事では、まずパイナップルが実るまでにかかる時間を確かめます。次に、1個の実が花の集まりでできていることを見ます。最後に、人が花を咲かせる日を決める方法と、その歴史を紹介します。

01パイナップル1個がとれるまでには、植えてから1年半〜2年かかる

フロリダ大学の解説によると、植えてから収穫までの期間は、品種や育て方、気温によって変わります。目安は18〜24か月です。花が咲くのは、普通は植えてから14〜18か月後です。植える芽が大きいほど、早く実がなります。

農家の畑では、花を咲かせる時期を人が決めます。2014年の論文によると、植えてから6〜16か月たったころに、薬を使って花を咲かせます。そして、普通はその5〜6か月後に実を出荷します。

この論文の研究チームは、西アフリカのベナンの畑で実験をしました。そこでは、植えてから10〜13か月で花を咲かせる処理をしました。実を収穫したのは、その処理から150〜154日後です。合わせると、植えてから収穫まで1年3か月〜1年半ほどです。

1つの株からとれる実は、最大で2個です。1個目をとったあと、実の下から出てくる芽を育てると、2個目の実がなります。

02パイナップルの実は、50〜200ほどの花がくっついてできている

株が十分に育つと、茎の先にある芽が、葉を作るのをやめます。そして、花の集まりに変わります。2026年の論文によると、この花の集まりには60〜200の花がつきます。フロリダ大学の解説は、50〜200以上としています。

花びらは3枚で、長さは約2cmです。根もとは白く、先は紫がかった赤い色をしています。花は、花の集まりの下のほうから咲き始め、だんだん上へ進みます。

フロリダ大学の解説によると、最初の花が開くのは、花を咲かせる処理から50日ほどあとです。花の時期は20〜40日続きます。1日に開く花は1〜10個です。花は真夜中ごろに開き始め、次の日の夕方に閉じます。

花の1つ1つは、小さな実になります。その小さな実どうしがくっついて、1つの大きな実になります。パイナップルの表面にある「目」の1つ1つが、もとは1つの花だった小さな実です。ある研究では、目の数を、らせんの列の数と1列の目の数をかけて数えています。

実のてっぺんの葉(冠)は、花の集まりの軸の先からできます。軸の先は、花を作り終えると、また葉を作り始めます。この葉が冠になります。

花は下のほうから咲き始め、上へ進む。表面の「目」の1つ1つが、もとは1つの花。
花は下のほうから咲き始め、上へ進む。表面の「目」の1つ1つが、もとは1つの花。

店で売っているパイナップルの実には、普通は種がありません。パイナップルは、同じ品種の花粉では種ができない性質(自家不和合性)を持っています。フロリダ大学の解説によると、いくつかの品種が同時に花を咲かせると、種のある実ができることがあります。

03多くのパイナップル畑では、花を咲かせる日を人が薬で決めている

パイナップルは、自然に任せても花を咲かせます。日が短く、夜が涼しい季節になると、花を作り始めることがあります。乾燥が続いたときにも咲きます。ところが、自然に咲く時期は株ごとにばらばらです。ハワイでは、自然に咲いた実の収穫が5〜7月に集まり、とる時期もそろわないので手間がかかります。しかも、株が一度花を作り始めると、それを止めることはできません。

そこで農家は、エチレンという気体を使います。エチレンは植物が出すホルモンの一種で、果物を熟させる働きもあります。今いちばん使われている薬は、エテホンです。エテホンは株の上で分解して、エチレンを出します。

2026年の論文によると、エテホンをかけてから48〜72時間で、茎の先の芽に変化が出始めます。約15日後には、花の集まりの形がはっきり見えてきます。この方法を使えば、同じ畑の株に一斉に花を咲かせられます。畑ごとに花を咲かせる時期をずらせば、1年中パイナップルを出荷できます。

ただし、株が小さすぎると、エテホンを使ってもうまく咲きません。2026年の論文によると、花を咲かせる処理は、普通は植えてから10〜12か月の、株がよく育ったころに行います。

04パイナップルの花を咲かせる方法は、煙に当たった畑で見つかった

2023年に Plant Direct という雑誌に出た論文によると、パイナップルの花を咲かせる処理は、煙に当たった畑で花が咲いたことから見つかりました。のちに、煙に含まれるエチレンが効いていたと分かりました。アメリカのフロリダ州マイアミで、モートン(Julia Morton)が1987年に出した果物の本には、もっと詳しい話が載っています。1874年に大西洋のアゾレス諸島で、煙を当てるとパイナップルが6週間で花を咲かせることが、偶然見つかったというのです。

同じ本によると、1936年にはもう、アセチレンという気体や、炭化カルシウムの液が使われていました。炭化カルシウムは、水と反応してアセチレンを出す物質です。アセチレンは、エチレンと同じような合図を植物に送ります。2023年の論文は、エチレンとアセチレンを、農業の現場で実際に使われるようになった最初の「植物の成長調節剤」だと書いています。成長調節剤とは、植物の育ち方を変えるために使う薬のことです。

パイナップルと人の付き合いは、もっと古くからあります。2015年の論文によると、コロンブスたちは2回目の航海で、1493年11月4日に西インド諸島のグアドループに着きました。そこにあったカリブの人々の村で、パイナップルの株と実に出会いました。そのころパイナップルは、南アメリカ北部で栽培が始まったあと、大陸の広い範囲ですでに育てられていました。栽培の始まりは、6000年以上前かもしれないと論文は書いています。

LECTURE

深掘り講義

ここから先は、もう一段深く。しくみ・史料・論争まで踏み込みます。

パイナップルは、夜に二酸化炭素を取りこむ「CAM」という光合成をする

普通の植物は、昼に葉の小さな穴(気孔)を開けて、空気から二酸化炭素を取りこみます。でも気孔を開けると、そこから水も逃げていきます。

2015年に Nature Genetics に出た論文によると、パイナップルは「CAM(カム)」という方法で光合成をします。CAM の植物は、夜に気孔を開けて、二酸化炭素を取りこみます。取りこんだ二酸化炭素は、リンゴ酸という物質に変えて、細胞の中にためておきます。昼は気孔を閉じたまま、ためておいたリンゴ酸から二酸化炭素を取り出して、光合成に使います。こうすると、水があまり逃げません。

この論文は、パイナップルを「CAM の作物の中で、経済的に最も価値が高い作物」と書いています。国際的な取引では、バナナに次いで2番目に重要な熱帯の果物です。

パイナップルは種ではなく、株の一部を植えて増やす

同じ品種の花粉では種ができないので、パイナップルは株の一部を植えて増やします。2014年の論文によると、植えるのは次のような部分です。

  • 冠:実のてっぺんの葉の部分
  • スリップ:実の柄の、実のすぐ下から出る芽
  • サッカー:地面の下の茎から出る芽

こうして増やした株は、親とほぼ同じ遺伝子を持ちます。2015年の論文によると、栽培品種の DNA では、両親から受けついだ2組の遺伝子の間に、約2%の違いがあります。これは種で増やす作物より大きく、株分けで増やすブドウやリンゴと同じくらいです。

論文は、自分の花粉で種ができる突然変異のパイナップルも紹介しています。その株を2世代続けて自分の花粉で受粉させました。すると、生まれた苗のほとんどが死にました。親どうしが近すぎると子が弱くなる現象(近交弱勢)が、とても強く出たのです。

パイナップルが自然に花を咲かせるかどうかは、夜の気温で大きく変わる

2026年の論文は、1979年のフレンド(Friend)とライドン(Lydon)の研究を紹介しています。スムースカイエンという品種を、夜の気温を変えて育てた研究です。

夜の気温が20℃のとき、花は最も早く咲きました。15℃や25℃では、咲くのが最も遅くなりました。そして30℃では、3年たっても花が咲きませんでした。

花を作り始めた茎の先では、数日で形が変わる

2023年の論文の研究チームは、ハワイの農場でエテホンをかけた株を使い、処理から8日間、茎の先で働く遺伝子を調べました。論文によると、茎の先の芽は、処理から8〜10日で形が変わり、葉を作る芽から花を作る芽になります。花ができるのは、さらに8〜10週間後です。

自然に咲いて収穫の時期が乱れるのを防ぐため、花が咲くのを抑える方法も研究されています。2026年の論文は、自然に咲くのを抑える薬(AVG)を紹介しています。台湾の品種にこの薬を10〜15日ごとに4〜5回かけると、自然に咲く株が大きく減りました。

用語ミニ整理

  • エチレン:植物が出す気体のホルモン。果物を熟させ、パイナップルでは花を咲かせる
  • エテホン:分解してエチレンを出す薬。パイナップルの花を咲かせるのに最もよく使われる
  • 自家不和合性:同じ株や同じ品種の花粉では種ができない性質
  • CAM(カム):夜に二酸化炭素を取りこんでためておく光合成の方法

05まとめ

パイナップルは、植えてから実を収穫するまで1年半〜2年かかります。1個の実は、茎の先に咲いた50〜200ほどの花がくっついたものです。

多くの畑では、エチレンを出す薬で花を咲かせる日を決め、収穫の時期をそろえています。この方法は、煙に当たった畑で花が咲いたことから始まりました。次にパイナップルを切るときは、表面の目を数えてみてください。目の1つ1つが、もとは1日ほどしか咲かない1つの花でした。

人に話すなら、こう言おう

パイナップルって、植えてから1個とれるまで1年半から2年もかかるんだって。しかも1個の実は、50〜200くらいの花がくっついたもの。畑では、花を咲かせる日を薬で決めてるらしいよ。
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英語で読む

Two Years for One Pineapple

CEFR A2229 words4択 5問全訳つき
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英文をタップすると、その文の訳が出ます。

How long does it take to grow one pineapple?パイナップルを1個育てるのに、どれくらいかかるでしょうか。 Experts at the University of Florida say it takes 18 to 24 months from planting to harvest.フロリダ大学の専門家によると、植えてから収穫まで18〜24か月、つまり1年半から2年かかります。 In that time, one plant makes just one fruit at the top of its stem.その間に、1つの株は茎の先に実をたった1個だけ作ります。

A pineapple does not come from one flower.パイナップルは、1つの花からできるのではありません。 It comes from about 50 to 200 small flowers.50〜200ほどの小さな花からできるのです。 The flowers open from the bottom up, and they usually begin to open around midnight.花は下から上へ咲いていき、ふつうは真夜中ごろに開き始めます。 Each flower becomes a tiny fruit, and the tiny fruits join together.花の1つ1つが小さな実になり、その小さな実どうしがくっつきます。 The "eyes" on the skin of a pineapple were once flowers.パイナップルの皮の「目」は、もとは花だったのです。

On many farms, people decide when the plants will flower.多くの畑では、株がいつ花を咲かせるかを人が決めています。 They use ethylene, a gas that works as a plant hormone.使うのは、植物ホルモンとして働く気体のエチレンです。 Farmers spray a chemical that gives off ethylene.農家は、エチレンを出す薬をかけます。 Then many plants flower at the same time, and the fruit is ready about five or six months later.すると多くの株が同時に花を咲かせ、その5〜6か月ほどあとに実ができあがります。

People found this method by accident.人々は、この方法を偶然見つけました。 Pineapple plants that were near smoke started to flower.煙のそばにあったパイナップルの株が、花を咲かせ始めたのです。 Later, scientists learned that smoke contains ethylene.あとになって、科学者たちは煙にエチレンがふくまれていることを知りました。 A book from 1987 says this happened on the Azores islands in 1874.1987年の本によると、これは1874年にアゾレス諸島で起きたことでした。

Pineapples also have a special way to save water.パイナップルには、水を節約する特別な方法もあります。 They take in carbon dioxide at night and keep the tiny holes in their leaves closed during the day.夜に二酸化炭素を取りこみ、昼は葉の小さな穴を閉じたままにしておくのです。 Next time you cut a pineapple, count its eyes.次にパイナップルを切るときは、目を数えてみてください。 Each one was once a flower that bloomed for only about a day.その1つ1つが、もとは1日ほどしか咲かない花だったのです。

4択問題 Reading Quiz

  1. Q1What is this story mainly about?

    この話は主に何についてのものですか。

  2. Q2How long does it take from planting a pineapple to harvest?

    パイナップルを植えてから収穫までどれくらいかかりますか。

  3. Q3Why do many pineapple plants on a farm flower at the same time?

    畑の多くのパイナップルの株が同時に花を咲かせるのはなぜですか。

  4. Q4In paragraph 4, the phrase "by accident" is closest in meaning to ...

    第4段落の "by accident" という語句に最も意味が近いのはどれですか。

  5. Q5Which is true about the story?

    この話の内容と合っているのはどれですか。

重要語 Key Words(タップで裏返る)

  • harvest名詞・動詞
    収穫(する)

    The rice harvest starts in September.

    米の収穫は9月に始まる。

    💡 harvest time で「収穫の時期」。

  • stem名詞
    茎

    The flower has a long green stem.

    その花には長い緑の茎がある。

    💡 木の「幹」は trunk、草花の「茎」は stem。

  • midnight名詞
    真夜中、夜の12時

    The party ended at midnight.

    パーティーは夜の12時に終わった。

    💡 mid(真ん中)+ night(夜)。noon は「正午」。

  • hormone名詞
    ホルモン

    Plants also make hormones.

    植物もホルモンを作る。

    💡 英語の発音は「ホーモウン」に近い。

  • spray動詞
    (液を)吹きかける、まく

    He sprayed water on the plants.

    彼は植物に水を吹きかけた。

    💡 名詞で「スプレー」の意味もある。

  • accident名詞
    偶然、事故

    I met my old friend by accident.

    私は偶然、昔の友達に会った。

    💡 by accident で「偶然に」。反対は on purpose(わざと)。

  • smoke名詞
    煙

    Smoke came out of the kitchen.

    台所から煙が出てきた。

    💡 動詞では「たばこを吸う」の意味もある。

  • carbon dioxide名詞
    二酸化炭素

    Plants use carbon dioxide to make food.

    植物は二酸化炭素を使って栄養を作る。

    💡 CO2 と書き、carbon(炭素)+ dioxide(二酸化物)。

SOURCES出典・ウラ取り

この記事の事実は、次の資料を実際に開いて確認しています(確認した事実 40件)。

  1. Crane, J. H. Pineapple Growing in the Florida Home Landscape(HS7/MG055、フロリダ大学 UF/IFAS)ask.ifas.ufl.edu
  2. Chen, L. et al. (2026) From natural induction to artificial regulation: a review on the mechanisms and techniques of flowering in pineapple, Frontiers in Plant Science 16:1751953doi.org
  3. Paull, R. E. et al. (2023) Differential gene expression during floral transition in pineapple, Plant Direct 7:e541doi.org
  4. Fassinou Hotegni, V. N. et al. (2014) Heterogeneity in pineapple fruit quality results from plant heterogeneity at flower induction, Frontiers in Plant Science 5:670doi.org
  5. Ming, R. et al. (2015) The pineapple genome and the evolution of CAM photosynthesis, Nature Genetics 47:1435–1442doi.org
  6. Morton, J. (1987) Pineapple, Fruits of Warm Climates, pp. 18–28(パデュー大学 NewCROP が公開)hort.purdue.edu
  7. Chaves, D. M. et al. (2024) Extraction, characterization and properties evaluation of pineapple leaf fibers from Azores pineapple, Heliyon 10:e26698doi.org

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