次期学習指導要領 校種別ガイド高校
高校版
審議まとめ(2026年10月5日)を高校の先生向けに

高校の先生のための次期学習指導要領ガイド

単位の数え方を細かくし、学校が科目を組み立てる自由を広げる案です。

たとえると

たとえるなら、千円札でしか払えなかったお店で、五百円玉も使えるようになるようなものです。1単位を35コマから17コマに細かくし、半年ごとの学びも単位にしやすくします。たとえ話で、制度はまだ案の段階です。

高校はいつから?

全面実施2032年度の入学生から(学年ごとに。2034年度に全学年)(見込み)
移行期間2029〜2031年度
告示2027年度末の予定
教科書2032年度から学年ごとに新しい教科書(2030年度から検定)
無料原田英語.com 次期学習指導要領ナビ

研修・会議・授業・保護者会での印刷・コピー・配布・投影はご自由にどうぞ。ご連絡は不要です。クレジットは残してください。審議まとめ(2026年10月5日)準拠・出典ページつき。告示前の方向性で、今後変わることがあります。2026年11月4日 版

サイトで見る

高校の大きな変化

1単位を17コマに(新単位)

いまは35コマで1単位なので、半年だけの学びは単位にしにくい仕組みです。次期は1単位を細かくし、50分の授業17コマを1単位の標準にする案です(新単位)。半期の学びでも単位を認めやすくなります。卒業に必要な単位は148新単位とすることが適当とされました。2学期制への移行を前提にしたものではないとされています。 P42P46

いままで50分×35コマで1単位、卒業には74単位が必要です。
→
これから(方向)50分×17コマを1単位の標準にし、卒業は148新単位とする案です。

科目を学校で組み替えられる

内容が重なっていても、別々の科目として学ぶ必要がある、という課題が指摘されました。次期は、科目の目標の趣旨を損なわないなど3つの要件のもと、学校の判断で科目の内容を移したりまとめたりできる案です。必履修科目も対象です。既存の科目の内容だけで作った「組替え後科目」は、単位数の上限を設けない方向です。 P42P43P44P45

いままで原則として、科目の間で内容を移したり入れ替えたりはできません。
→
これから(方向)一定の要件のもと、学校の判断で必履修科目も含めて組み替えられる方向です。

減単(単位を減らす)の見直し

減単とは、標準より少ない単位で科目を学ぶことです。いまの必履修科目は、原則として減単できません。次期は、生徒の実態などに照らして必要な場合、一定の限度の下で認める考え方に改める案です。たとえば今は減らせない2単位の必履修科目(4新単位)も、1新単位の範囲で減らせます。ただし教科の合計が3新単位以下になる減単はできません。 P47

いままで必履修科目の減単は「原則不可」で、2単位の科目は減らせません。
→
これから(方向)「一定の限度の下で可」を基本とし、2単位の科目も減らせる方向です。

英語・数学の履修免除

すでに十分な力がある生徒のための仕組みの案です。社会的に信頼された外部試験の合格など、3つの要件をすべて満たす場合に、必履修科目の履修を免除し、ほかの科目に振り替えられます。まずは外国語と数学からです。英語ではCEFRのB2レベル相当以上が考えられるとされています。学校が必ず実施しなければならない仕組みではありません。 P42P48P49

いままで高い力がある生徒も、必履修科目を初めから履修する必要があります。
→
これから(方向)要件を満たせば、学校の判断で履修を免除し、上位の科目などに振り替えられる方向です。

週30コマの標準をなくす

週30コマが標準とされているため、3年間で90単位以上を履修するのが一般的です。これは卒業に必要な単位を大きく超えています。次期は、週当たりの授業時数の標準を示さない案です。卒業に必要な単位を修得できる範囲で、各学校が週の時間割を柔軟に組めるようになります。 P42P51

いままで週30コマが標準で、3年間で90単位以上の履修が一般的です。
→
これから(方向)週30コマの標準は示さず、学校ごとに週の時間割を組める方向です。

学校独自の科目を広げる

学校独自の教科・科目(学校設定教科・科目)を、卒業単位にもっと多く入れられるようにする案です。普通科では、卒業単位の4割程度にあたる28単位(56新単位)までとすべきとされました。地域社会学科などの「その他普通教育を主とする学科」では、必履修以外の全て(70新単位)まで認める方向です。 P45P50

いままで普通教育を主とする学科では、学校設定教科・科目を卒業単位に入れられるのは20単位までです(専門学科は今も上限なし)。
→
これから(方向)普通科は56新単位、「その他普通教育を主とする学科」は70新単位まで広げる案です。

英語・国語・数学の科目が変わる

英語の科目名は、「英語コミュニケーション(総合)(仮称)」と「英語コミュニケーション(発信)(仮称)」に変わる方向です。単位数は今と同じです。数学Ⅰには「数学ガイダンス」「社会を読み解く数学」が加わり、最大8新単位程度に増える案です。数学A・B・Cは一つの選択科目にまとめます。国語は選択科目を組み直します。 P80P81P82

いままで英語は英語コミュニケーションと論理・表現、数学はⅠ〜ⅢとA・B・Cです。
→
これから(方向)3教科で科目名や構成が変わり、ほかの教科は現行どおりの方向です。

情報Ⅰ・Ⅱの充実

高校の情報科は、中学校までの積み上げが十分でないため、基礎に時間が割かれていると指摘されました。次期は、情報Ⅰ・Ⅱの内容を充実させ、データサイエンスやAIに関する内容を強める方向です。大学に進まない生徒も含め、高校卒業生全員に力を育てるとしています。数理・データサイエンス・AIを、日常や仕事で使いこなせる力(リテラシーレベル)です。 P72P74

いままで情報Ⅰ(必履修)・情報Ⅱがあるものの、基礎に時間がかかっています。
→
これから(方向)データサイエンスやAIの内容を強め、全員にリテラシーレベルの力を育てる方向です。

変わらないこと

多くの教科の科目名・単位数

科目の再編や名前の変更が示されたのは、外国語・国語・数学の3教科です。それ以外の教科の科目は、名前も単位数も現行と同様とされています。国語の必履修科目の構成と単位数、英語の単位数も今のままです。 P80

年間35週の授業週数

小・中学校は「年間40週を標準」に改める方向ですが、高校の全日制は事情が違います。標準と実態に大きなずれはないとして、年間35週を標準とする今の決まりを維持することが適当とされました。 P51

3つの力の柱で育てる

知識・技能、思考力・判断力・表現力等、学びに向かう力・人間性等という3つの柱で力を育てる考え方は続きます。次期は、その示し方を、力のつながりが見えるように整理し直す方向です。 P7P13P16

「総合的な探究の時間」

高校の「総合的な探究の時間」という名前はそのままです。小・中学校のほうが、高校と同じ名前にそろえる方向です。小学校から高校まで、一貫して「探究」を大切にする形になります。 P77

先生の毎日はどう変わりそう?

授業では、単元を通して身に付けたい理解や力から計画を立てる形が求められる方向です。評価では、態度のABCをやめ、所見欄での一人一人の伸びの評価(個人内評価)と、思考・判断・表現の評価に「◯」を書き添えることを組み合わせる案です。評定を学年末だけにまとめてもよいと明確に示すべきとされています。時間割は、週30コマの標準がなくなり、半期ごとの科目選びもしやすくなる方向です。ICTは、デジタル学習基盤を常に使える前提で考えます。

全教科10秒早見表(高校)

教科等高校で変わること(10秒)
国語必履修は現代の国語Ⅰ・言語文化Ⅰ。選択は現代の国語Ⅱ・言語文化Ⅱと発展4科目に再編
話す・書く・読むを「話や文章の機能」でつなぐ教科へ
地理歴史・公民科目名は現行どおり。地理総合に導入単元を新設、「公共」の事柄・課題は13→10に精選
覚える社会から、問いと確かな情報で探究する社会へ
数学数学Ⅰに「社会を読み解く数学」等を加え最大8新単位程度に。数A・B・Cは1科目に統合する案
小中高を6つの分野でつなぎ、証明と批判的思考を育てる
理科「科学と人間生活(8新単位)」1科目で必履修を満たす道を新設。各基礎科目に科学ガイダンス
小中高を4分野でつなぎ、デマに流されない科学の目を育てる
理数理数探究基礎・理数探究は現行どおり。文理横断(STEAM)の課題も充実し、全校で指導
理系だけでなく文理をこえたテーマで、全校で探究を
芸術Ⅰの科目で芸術の全体像や学ぶ意味を考える機会を設ける。書道は字形等を〔共通事項〕に
思いをもつことから表すまでを、一続きの学びに
家庭ホームプロジェクト等を各領域の「生活の課題と実践」に。家庭総合に新F領域を追加
領域を5つに再編し、中学校では独立した教科に
情報情報Ⅰ・Ⅱの構成は維持。AI・データサイエンスを加え、両科目の最後にPBL(課題解決学習)
小は総合に「情報の領域」、中は新教科、高は情報科を充実
保健体育専門教科「体育」を「スポーツ」に改称。保健は健康・安全の「概念」と「原則」を軸に
身に付けたい「動き」と、運動の多様な楽しみ方を軸に
外国語(英語)英語コミュニケーション→同(総合)、論理・表現→英語コミュニケーション(発信)に改称
AI時代も人と伝え合う力を、段階を追って育てる英語へ
専門教科(産業教育)全専門教科でAI・データ活用と経営の学びを充実。課題研究は履修学年を示さない
専門高校の学びを、AI・データと産業界との協働で強める
総合的な探究の時間名称は現行どおり。自分の在り方生き方に関わる「マイ探究」を自分で進められる姿を目指す
小中も「総合的な探究の時間」へ。一人一人の探究を深める方向
特別活動ホームルーム活動(小中は学級活動)を「学級経営の要」に。キャリア・パスポート例示資料は廃止
子供が学級・学校をよりよく創る「社会創造」の活動へ

いつから?(改訂スケジュール)

高校の学習指導要領の改訂(告示)は2027年度末(令和9年度末)の予定です。実施は2032年度(令和14年度)の入学生から学年ごとに進む見込みです。単位制の見直しは、2029年度か2030年度(令和11年度か12年度)に先に始める方向です。どれも予定で、変わることがあります。
年度202620272028202920302031203220332034
幼稚園等審議・答申周知全面実施
小学校審議・答申・告示周知先行実施先行実施全面実施
小学校の教科書著作・編集検定採択・供給使用開始
中学校審議・答申・告示周知先行実施先行実施先行実施全面実施
中学校の教科書著作・編集検定採択・供給使用開始
高等学校審議・答申告示(年度末)周知先行実施先行実施先行実施入学生から2年生まで全学年
高校の教科書著作・編集検定採択・供給使用開始(学年ごと)

文部科学省「学習指導要領等の改訂に関するスケジュール(イメージ)」(令和8年10月5日 第136回教育課程部会 参考資料7。「今後変更の可能性がありうる」と注記)より。

よくある質問

新単位になると、学習量は減りますか?

単位の数え方を細かくする案で、今の1単位はおおむね2新単位にあたります。卒業に必要な単位も74単位から148新単位になります。必履修科目全体の学習時間は、今の1330コマから1326コマと、わずかに減る計算が示されています。 P46P81

外部試験で基準を満たした生徒は、必ず免除しないといけませんか?

いいえ。要件を満たす生徒がいても、必ず免除しなければならない仕組みではありません。時間割が合わない、希望者が少ないといった事情もあるためです。学校として実施できる場合に選べる仕組みとされています。振替先の科目などは、今後解説等で具体的に定めるとされています。 P48P49

2学期制にしないといけませんか?

いいえ。新しい単位の数え方は、2学期制への移行を前提にしたものではないとされています。2学期制の学校は、前期・後期で単位を認めやすくなる利点があります。3学期制でも、新単位の数を2の倍数にすれば、これまでと同じように運用できるとされています。 P46

単位制の見直しは、いつから使えますか?

2029年度か2030年度(令和11年度か12年度)に先に始める方向です。具体の年度は、都道府県教育委員会などの検討状況を見て決まります。その前の2028年度からは「高校版サキドリ研究校」を指定し、事例づくりを進める方向です。 P51

数学Ⅰの時間は増えますか?

数学Ⅰに「数学ガイダンス」と「社会を読み解く数学」を加え、最大8新単位程度とすることが適当とされました。今の3単位(6新単位)より増える案です。そのぶん数学Ⅱを6新単位(3単位)に減らすなど、数学全体の学習量が増えないよう調整する方向です。 P80P81

情報Ⅰの指導が不安です。支えはありますか?

国が、授業でそのまま使える授業動画を含む教材を作り、少なくとも1年に1度は新しくする方向です。高校情報科の免許を持つ先生を増やすため、全国規模の免許法認定講習なども進めるとされています。AIの利活用に関するガイドラインも改定される方向です。 P75P89

全教科の先生の準備チェックリスト

  • 単元づくりの出発点が「教科書のどこまで進むか」から「どんな資質・能力をつけたいか(統合的な理解・総合的な発揮)」に変わる。今から、単元を通した本質的な問いや論述・レポートなどの課題を考える練習ができる。国は教科等ごとの単元構想の参考イメージを示す。 P13P22P28
  • 「統合的な理解・総合的な発揮」だけを取り出して評価規準を作る必要はない。ただし「A:十分満足」の判断などで踏まえるので、評価と無関係ではない。 P15P68
  • 「主体的に学習に取り組む態度」のABC評価のために、ノート提出回数などの材料を集める作業はなくなる方向。学びに向かう力は総合所見での個人内評価と、思・判・表への「◯」の付記に変わる。単元ごとの◯付けは求められない。 P62P63P65
  • 各学校で「内容のまとまりごとの評価規準」を作る作業は不要になる方向で、単元の目標をそのまま評価規準にできる。評定へのまとめは学年末だけでもよいことが明確にされ、学期中は形成的評価(途中でのフィードバック)に力を注げる。 P69P70
  • 思考・判断・表現の評価は、ペーパーテストや業者の単元テストに偏らず、論述・レポート・口頭試問・プレゼン・作品制作などを核にする方向。AIに頼った成果物への対策として、口頭試問やブラウザ閲覧を制限するソフトの活用例も示されている。 P26P63P64
  • 1単位17コマの新単位、科目の組替え、必履修科目の減単拡大、週30コマ標準の廃止などが提案されており、実現すれば学校独自の教育課程の幅が大きく広がる。先行実施は令和11年度か12年度(具体の年度は今後決定)、令和10年度から高校版サキドリ研究校。活用状況はカリキュラム・ポリシーの一環としてウェブで公表する。 P42P46P47P51P52
  • 英語と数学の外部試験で十分な力がある生徒について、学校が実施可能な場合に必履修科目を免除して上位科目等に振り替えられる仕組みが提案された。英語はCEFR B2相当以上が基準として考えられるとされ、対象の試験や数学の級などは今後解説等で決める。必ず免除しなければならない仕組みではない。 P48P49
  • 数学Ⅰの学習内容に「社会を読み解く数学」「数学ガイダンス」を加えて最大8新単位程度とし、数学A・B・Cは一つの新選択科目にする案。国語・英語も科目名や構成が変わる方向(新しい科目名はいずれも仮称)。 P80P81P82
  • 学習の自己調整や学習方略の指導が重視され、一律の宿題から、子供が家庭学習の内容を自分で決められるよう段階的に指導する方向が示された。国が具体的な指導資料を出して支える。 P10P28
  • 特別活動では、校則を含む学校生活の課題を話し合い、納得解・暫定解をつくる活動や、児童会・生徒会の提案・意見表明、学校行事の企画・運営を子供が担うことが位置付けられる。キャリア・パスポートは例示資料が廃止され、学校による引継ぎは求められない。 P10P11P61
  • 総合では、テーマ探究とマイ探究をバランスよく組み合わせ、研究系・行動系に加え創作系の探究も認められる。小中の名称は「総合的な探究の時間」に。外部に協力を求めるときの留意事項も国が示す。 P11P77
  • カリキュラム・マネジメントは単元配列表づくりが目的ではなく、「ねらいの明確化→編成・実施・調整→評価・改善」の3ステップ。形骸化した取組を見直すことも重視され、そのための協議時間に裁量的な時間を使うこともできる。 P83P84P85
  • 道徳は一つの教材を複数コマで扱う教科書構成や、チームで行う道徳授業の推進が打ち出されている。読み物教材の数は精選され「深める教材」が展開される。 P11P61
  • 教科書は精選され、教科書「を」全部教える前提が見直される。調整授業時数で時数を減らしても内容をおおむね扱える分量を目指し、指導書でも問いや評価課題、学習過程の構造が示される方向。 P22P58P89

ご利用について

サイトで最新版を見る