大事なポイント16
調整授業時数制度の創設(小・中)
各教科等の内容は全部扱うことを前提に、標準授業時数を下回って時間割を組めるようにする。生み出した時間は、他教科への上乗せ、学校独自の新教科、「裁量的な時間」(学習枠・研究・研修等枠)に使える。国への申請はいらず、学校の判断で使える「常に利用可能な選択肢」にする。下回ってよい幅は対象教科等の最大15%程度(小138コマ・中128コマ程度)を想定し、具体の数字はこれから決める。全面実施を待たず、令和10年度からの先行実施期間でも使えるようにする方向。 P31P32P35P36P37P38
「統合的な理解・総合的な発揮」による構造化
知識・技能がつながって一般化された状態を「統合的な理解」、思考力・判断力・表現力等を組み合わせて使えている状態を「総合的な発揮」と呼び、内容のまとまりごとに示す。これは新しい内容を足すものではなく、今ある内容から本質を取り出したもので、むしろ内容の精選につながる。到達の水準は示さない「方向目標」で、それだけを取り出して評価することは求めない。ねらいは、教科書「を」網羅的に教える授業や「本時主義」から抜け出し、資質・能力から単元を考える授業づくりを広げること。 P13P14P15P68
表形式化・「学年相当」・デジタル学習指導要領
学習指導要領を文章の羅列から表の形に変え、統合的な理解・総合的な発揮と個別の資質・能力の関係を一目で見えるようにする。教科によって「並列」パターンと「並行」パターンを使い分ける。学年別の目標は示さない方向で、学年を示す場合も「◯学年相当」と書いて、学年の枠にしばられない編成ができることをはっきりさせる。さらに紙・PDFだけの今の形を改め、検索やリンク、生成AIでの利用ができるウェブ版「デジタル学習指導要領」をつくる。 P17P18P19P20P21
「学びに向かう力」の評価を大きく変える
教科ごとに「主体的に学習に取り組む態度」をABCで評価するやり方をやめ、総合所見欄で教育課程全体を通じた個人内評価にする方向。そのうえで、思考・判断・表現の過程で「初発の思考や行動」「学びの主体的な調整」「対話と協働」が続けて見られた場合に、「思・判・表」の評価に「◯」を付け加える。国が教科等ごとに「見取る姿」を示し、単元ごとの◯付けは求めない。◯は「思・判・表」を通じて評定に影響し得るが、自動的に評定を上げるものではない。 P63P64P65P66P67
情報活用能力の抜本的向上(新教科・領域)
小学校では総合的な探究の時間に「情報の領域」を加え、「探究の領域」と2つの領域にする。中学校では家庭科を独立した教科にし、技術分野を「情報・技術科」にする。高校の情報科は、文理を問わず数理・データサイエンス・AIを使いこなす力(リテラシーレベル)を全員に育てる方向で充実させる。「活用」「適切な取扱い」「特性の理解」の3要素をバランスよく育てる。時数は標準総授業時数を増やさず、小学校3年以上の各教科等(35コマ以下のものを除く)から一律3〜4%程度を「広く薄く」減らす考え方が示された(具体的な時数は今後精査・検討)。 P72P73P74P78P79
高校の単位制の大幅な柔軟化
1単位を35コマから17コマに改め、卒業に必要な単位を74単位から148新単位とすることが「適当」とされた(審議まとめ段階の提案)。必履修科目も含めて学校の判断で科目を組み替えられるようにし、減単は「原則不可」から「一定の限度の下で可」に改める。英語・数学の必履修科目は、一定水準以上の外部試験に加え、振替先での発展的な学びなど3つの要件をすべて満たす場合に、学校の判断で履修を免除・振替できるようにする方向(必ず免除しなければならない制度ではない)。週30コマの標準は示さないことにし、学校設定教科・科目の単位数の上限も引き上げる。 P42P46P47P48P49P50P51
「余白」を生む授業時数の見直し(40週・週28コマ)
「余白」は単なるひまではなく、多様な子供たちの深い学びを実現するための時間的余裕のこと。年間35週以上という書き方が「週29コマ」の習慣を生んでいるとして、年間40週を標準とする書き方に改める方向。調整授業時数を使えば、週27コマの授業+研究・研修1コマという週時程も一般的にできるようにする。標準を大きく上回る予備時数の見直しは、改訂を待たずに進める。 P36P39P55P56P57
教科書の精選と「網羅主義」からの脱却
今の教科書は情報を網羅しすぎていて、教科書を全部教えなければという意識や、時数を多めにとる原因になっていると指摘された。統合的な理解・総合的な発揮をつかみやすい形に教科書を精選し、教科書以外の教材とは役割分担する。調整授業時数制度で最大15%程度時数を減らしても、教科書の内容をおおむね扱える分量にするしくみを教科書検定調査審議会で検討する。精選は「学力向上に資する精選」でなければならないとしている。 P57P58P59
「学びに向かう力、人間性等」を4つの要素に再整理
今の「学びに向かう力」は項目が羅列的で分かりにくく、評価の「粘り強さ」「自己調整」に狭められて理解されているとされた。次期では、「初発の思考や行動を起こす力・好奇心」「学びの主体的な調整」「他者との対話や協働」「学びを方向付ける人間性」の4つを基本の要素にする。前の3つは学習中に表に出やすく、最後の1つは内面的で表に出にくいと整理している。各教科等の目標にこの要素をバランスよく入れる。 P16
不登校・特異な才能のある子のための「2階部分」
学校全体の教育課程を柔らかくする「1階部分」に加え、一人一人に着目した特別の教育課程(「2階部分」)を広げる。校内外の教育支援センター等に通う不登校の子や、特定分野に特異な才能のある子について、必要な場合に特別の教育課程を組める制度を新しくつくる。通級による指導の中で各教科の指導を部分的に行えるようにすることや、日本語指導の考え方の改善も示した。2階部分も令和10年度からの先行実施期間から取り組めるようにする方向。 P30P38P53P54
学習評価の手続きをスリムにする
各学校が「内容のまとまりごとの評価規準」をつくる作業はやめ、国が例を示す。単元の目標をそのまま評価規準として使うことを前提にする。「指導と評価の計画」という文書づくりではなく、授業の「構想」として示す。評定へのまとめは学年末だけでもよいことをはっきりさせ、学期中は形成的評価を中心にすることを促す。 P69P70P71
「見方・考え方」の再整理
現行の見方・考え方は、学びの深まりと教科を学ぶ本質的な意義の2つの側面が混ざっていて分かりにくかった。深まりの側面は統合的な理解・総合的な発揮で具体化し、見方・考え方は「各教科等を学ぶ本質的な意義」に絞って示す。解説ではなく学習指導要領の本体に、目標のすぐ下の別の欄として書く。教師にとっては「教科の本質を外していないか」を確かめる「灯台」の役割を期待している。 P23
「個に応じた学習過程の充実」を総則に
総則の「個に応じた指導の充実」を発展させ、「個に応じた学習過程の充実」とする。教師が一人一人に応じて工夫する「教師主語」の視点と、子供が自分で学習を調整する「学習者主語」の視点の両方をバランスよく書く。令和答申の「個別最適な学びと協働的な学び」も、用語の混乱がないよう整理し直してここに位置付ける。学習の自己調整や学習方略の指導については、具体的な指導資料を国が出して支える。 P27P28
AI時代だからこそ「確かな知識」
AIが情報を整理してくれる時代でも、知識の価値が下がったわけではないと整理した。価値が下がったのは、意味の分からない丸暗記や知識の量だけを競う評価だとしている。知識をつなげて頭の中で構造化し、他の場面でも使える「確かな知識」として身に付けることが一層大切になる。AIの出力をそのまま使って学習過程を省くことを避けるため、書く・話すなどの「外化」を重視する。 P9P28
やさしく言うと:9つの柱
第1部 全8章の要約
第1章 子供たちを取り巻く社会や学校の現状と展望
少子高齢化、分断が深まる国際情勢、AI・ロボットによる産業構造の変化などで、社会の先行きはこれまでになく不確かになっている。人生の「場面転換」が増えるため、学校を出た後も自分で学び続け「自らの人生を舵取りする力」が必要になる。またSNSの偽・誤情報やフィルターバブルによる分断の危険があり、異なる意見の人と対話して合意をつくる「民主的で持続可能な社会の創り手」を育てる必要が高まっている。学校では、PISA2025で3分野すべてOECD1位という成果がある一方、概念の深い理解や自分の意見を根拠をもって説明する力、学ぶ意欲や自己調整に課題が残り、現行学習指導要領の理念の浸透は「道半ば」とされた。不登校の増加など子供の多様性も大きく、今の仕組みのままでは対応が難しい。さらに先生の努力に過度に頼れないため、働き方改革と整合した教育課程が前提となる。 P4P5P6
- 【社会・経済の動向】2040年に1100万人の労働者不足、2050年に生産年齢人口の割合が50%程度に下がるとの推計。教育→雇用→引退の単線型から、転職・リスキリングを含むマルチステージの人生へ。
- 【民主的で持続可能な社会】SNSの偽・誤情報、フィルターバブル、エコーチェンバー、AIの認知への影響が分断を招きかねない。デジタルの負の側面を克服し、対話と合意ができる人を育てることが重要。
- 【デジタルとリアル】デジタル一辺倒は避け、「デジタルの力も使ってリアルな学びを支える」。五感・身体性、芸術・スポーツの価値を再認識。デジタルデバイドを広げない視点も重要。
- 【現行学習指導要領の実装の課題】PISA2025で3分野OECD1位の一方、低位層が2〜3割程度、習熟度の低い生徒の割合が増加。全国学力・学習状況調査で経年比較のスコア低下、SES(社会経済的背景)との相関、家庭学習時間の減少傾向。
- 【学びに向かう力の課題】自律的に学ぶ自信や探究への意欲、学習への積極的な関与(好奇心・忍耐力・自己調整)の割合が低い。3つの柱の一体的育成は道半ば。
- 【多様性の包摂の課題】不登校、障害や認知特性、外国人児童生徒、特異な才能、経済的に厳しい家庭など多様性が格段に増加。「多様性を個人及び社会の力に変える」発想と、「正解主義」「同調圧力」からの脱却が必要。
- 【負担の観点】教師の努力と熱意に過度に依存せず、令和6年8月の中教審答申や給特法等一部改正法による勤務環境整備と整合させる。
第2章 次期学習指導要領に向けた基盤となる考え方
改訂の土台として、①「主体的・対話的で深い学び」の実装、②多様性の包摂、③実現可能性の確保、の3つの方向性を示し、これらを三位一体で進めるとした。まとめると「多様な子供たちの『深い学び』を確かなものに」という共通理念になる。①では「深い学び」のイメージが多くの教師にとってつかみにくいことを課題とし、②では調整授業時数制度や特別の教育課程などで一人一人に応じる。③では教師と子供の双方に「余白」(深い学びのための時間的余裕)を生む。またAI時代でも知識の価値は下がっておらず、意味理解を伴う「確かな知識」がより大切になると整理した。目指す子供の姿は「自らの人生を舵取りすることができる民主的で持続可能な社会の創り手」で、「好き」を育み「得意」を伸ばすことと、当事者意識を持って意見を形成し対話と合意ができることを「両輪」で進める。 P7P8P9P10P11P12
- (1)3つの方向性:①主体的・対話的で深い学びの実装、②多様性の包摂、③実現可能性の確保。国際的には excellence・equity・feasibility と総括できる。
- (1)深い学びの実装の具体策:構造化・表形式化・デジタル化、学習の自己調整や学習方略の指導、豊かな学びにつながる評価、探究、小学校「情報の領域」・中学校「情報・技術科」の創設。
- (1)多様性の包摂の具体策:調整授業時数制度、高校単位制の大幅な柔軟化、不登校・特異な才能の子の特別の教育課程、心理的安全性の確保、デジタル学習基盤の活用。
- (1)実現可能性の確保:教師と子供に「余白」を創出。内容の精選、教科書の精選、単元ベースの授業設計、週当たりコマ数の適正化・平準化、指導書の改善、入試改善、国による授業動画など総合的な施策。
- (2)AI時代に人間が知識を持つ意義を4点で整理(AIへの指示・問いを出す、AIの出力の正誤を見極める、社会の分断に対処する、AIを制御・発展させる)。価値が下がったのは丸暗記や量を競う評価。
- (2)「確かな知識」:知識同士をつなげ構造化し、他の場面でも使える知識。認知的な努力で身体化(記号接地)された知識。
- (3)「両輪」:「好き」を育み「得意」を伸ばす + 当事者意識を持って自分の意見を形成し対話と合意ができる。
- (3)具体例:一律の宿題からの脱却、国語で根拠をもって筋道立てて示す活動、外国語で意見を発信する活動、特別活動で校則を含む学校生活の課題を議論、中・高の数学・理科に学習内容「数学ガイダンス」「科学ガイダンス」を新設する方向。
- (3)道徳は『考え、議論する道徳』をすべての学校で実装。一つの教材を複数コマで扱う教科書構成、チームで行う道徳授業。
- (3)総合では「テーマ探究」と「マイ探究」を組み合わせ、「研究系」「行動系」に加え「創作系」を明示。小中の総合的な学習の時間は「総合的な探究の時間」に名称変更の方向。
- (3)調整授業時数制度の裁量的な時間(学習枠)でマイ探究を深掘りしたり、研究・研修等枠で教材研究したりすることも考えられる。
第3章 「深い学び」を実現するための分かりやすく使いやすい学習指導要領
現行学習指導要領は、資質・能力の「深まり」と、複数の柱の「一体的育成」が書きぶりから見えにくく、教科書「を」網羅的に教える授業や「本時主義」から抜け出せない一因になっていると分析した。そこで内容を「統合的な理解・総合的な発揮」と個別の資質・能力で構造化し、表形式で示し、デジタル学習指導要領として提供する方向を示した(構造化・表形式化・デジタル化の一体実施)。学年別目標は示さず「◯学年相当」で示す方向。あわせて「学びに向かう力」を4要素に、「見方・考え方」を教科を学ぶ本質的意義に、学習の基盤となる資質・能力を言語能力・情報活用能力の2つに再整理するとした。デジタル学習基盤が常に使えることを前提とし、総則の「個に応じた指導の充実」を「個に応じた学習過程の充実」に発展させる方向。学習活動では、書く・話すなどの「外化」と読む・聞くなどの「内化」の往還を重視する。 P13P14P15P16P17P18P19P20P21P22P23P24P25P26P27P28P29
- (1)次期の「深い学び」=個別の知・技、思・判・表を一体的に育てながら、統合的な理解や総合的な発揮を促す学びのプロセス。構造化は現行の「進化」で、優れた教師の理解を全教師の共有財産にするもの。
- (1)構造化は個別知識の軽視でも高度化でもなく、いわゆる学力向上にも資する。複雑化しないよう一文を短くし、表形式を採用する。
- (2)統合的な理解・総合的な発揮は新しい内容項目ではなく、内容の精選につながる。到達水準は示さない「方向目標」。それだけを取り出して規準を作り評価することは求めない。概念的知識は引き続き目標準拠評価の対象。
- (2)審議中に使った「高次の資質・能力」という語は誤解を招くため次期学習指導要領では用いない。
- (3)「学びに向かう力」の4要素:初発の思考や行動を起こす力・好奇心/学びの主体的な調整/他者との対話や協働(以上、学習過程で表出しやすい)/学びを方向付ける人間性(表出しにくい内的側面)。
- (4)表形式は「並列」パターン(社会、算数・数学、理科、体育・保健体育、情報・技術、家庭など)と「並行」パターン(国語、外国語、芸術)。生活・特別活動・総合・幼稚園等はそれぞれに合った表形式。
- (4)学年区分:学年別目標は定めず、指導学年は「◯学年相当」で示す。相当学年外で扱う際の留意点を総則に書き、柔軟な指導を妨げない規定にする。
- (5)デジタル学習指導要領:ウェブで指導書等からリンク、レイアウト変更・キーワード検索、多様な形式で出力、生成AIが読みやすいデータ、学習指導要領コードで教材や全国学調の問題を探せる。
- (6)国が教科等ごとに単元構想の「参考イメージ」を示す。教師が参考イメージを常に作ることは想定しない。教科書・指導書でも問いや評価課題、学習過程を明確に。
- (7)見方・考え方は各教科等を学ぶ本質的な意義に焦点化し、学習指導要領本体の目標直下に別欄で記載。「扱う事象や対象」「物事を捉える視点」「考え方や判断の仕方」の3要素を基本とする。
- (8)学習の基盤となる資質・能力は「言語能力・情報活用能力」の2つに絞る(情報活用能力は情報技術の活用に限る)。「問題発見・解決能力」は教育課程全体の取組で実質化。
- (9)デジタル学習基盤(1人1台端末やクラウド等)の意義を総則に示す。AI要約のコピー&ペーストへの指導、口頭試問やブラウザ閲覧を制限するソフトの活用などの評価の工夫。技術の変化はガイドライン等で対応。
- (10)「個に応じた学習過程の充実」:教師主語と学習者主語の2つの視点。個別最適な学びは主体的・対話的で深い学びのためと明確化。アンコンシャスバイアスに基づく指導を避ける。
- (11)外化(書く・話す等)を重視し内化との往還の質を高める。AIの出力をそのまま使う「学習過程の省略」(過度な認知的オフロード)を避ける。
第4章 多様な子供たちを包摂する柔軟な教育課程
多様な子供を包摂するため、3つの層で教育課程を柔らかくする方向を示した(いずれも審議まとめの提案で、告示前のため未確定)。学校全体の教育課程の柔軟化(1階部分)として、義務教育では「調整授業時数制度」の創設、高校では単位制の大幅な柔軟化を提案した。一人一人に着目した特別の教育課程(2階部分)として、不登校の子や特異な才能のある子向けの制度を新設し、通級・日本語指導を改善する方向。その土台として日々の授業での包摂(心理的安全性、合理的配慮、学習の自己調整など)を重視する。調整授業時数制度は、標準を下回って生み出した時間を上乗せ・新教科・裁量的な時間に充てるもので、特例校制度を統合し、申請不要で学校判断で使えるようにする案。質の確保のため、国・都道府県・市町村・学校の役割を定め、学校はウェブで活用状況を公表する方向。高校は1単位17コマ化、科目の組替え、減単の拡大、履修免除、週30コマ標準の廃止、学校設定教科・科目の上限引上げが「適当」「すべき」として提案された。 P30P31P32P33P34P35P36P37P38P39P40P41P42P43P44P45P46P47P48P49P50P51P52P53P54
- (1)1階部分=学校共通の教育課程の柔軟化(調整授業時数制度・単位制の柔軟化)、2階部分=個々の子の特別の教育課程、土台=日々の学習指導の包摂性(心理的安全性、合理的配慮、学級全体のウェルビーイング、子供の意見に耳を傾ける)。
- (2)教育課程特例校・授業時数特例校制度は国の審査が必要で使いにくかった。研究開発学校(令和8年4月時点で9都道府県68校)の成果を踏まえ、申請不要の「調整授業時数制度」に。
- (2)使い道:他教科等への上乗せ/新教科の開設/裁量的な時間(学習枠・研究・研修等枠)。学習枠は要件6つ・類型4つ、研究・研修等枠は要件3つ・類型4つを法令等で示す。
- (2)標準35コマ以下の教科等は減らせず、調整後に35コマ未満にもできない。総合的な学習の時間も調整対象。特別活動の学校行事等への上乗せは不可。
- (2)上限:研究・研修等枠は週1コマ(最大35コマ)程度、裁量的な時間全体は週2コマ(最大70コマ)程度、標準を下回ってよい幅は最大で対象教科等の15%程度(小138・中128コマ程度)を想定。上乗せと教科新設には個別の上限なし。
- (2)授業時数特例制度・教育課程特例校制度(毎年1900校超)は調整授業時数制度に統合する方向。
- (2)年間授業週数は「35週以上」から「40週を標準」とする示し方にすべきとされた。単位授業時間(小45分・中50分)は各学校が適切に定めることを規則の備考欄で明確にすることが適当とされた。
- (2)質の確保:国は教育課程編成・実施状況調査で把握・公表、都道府県は研修・情報共有、市町村は教育課程編成届で要件適合性を確認、各学校はウェブで公表し、学校運営協議会を置く学校は活用方針も含めて承認を受ける。
- (2)サキドリ研究校(現在332校)を今年度中に追加募集し令和9年度に大幅増加。令和10年度からの先行実施期間でも、現行の標準授業時数を基礎に制度を使えるようにする。
- (3)高校の課題:内容が重なっても別科目履修が必要、1単位35コマ単位でしか調整できない、学校設定教科・科目の上限、週30コマの標準で卒業要件74単位を大きく超える履修。
- (3)方策(いずれも提案段階):科目の柔軟な組替え(要件3つ)、1単位=50分×17コマ(卒業148新単位)、必履修科目の減単範囲拡大、外部試験による履修免除・振替(まず外国語と数学)、週30コマ標準を示さない、学校設定教科・科目の上限引上げ(普通科28単位=56新単位、その他普通教育を主とする学科は70新単位)。
- (3)組替え後科目は学校設定教科・科目と区別し単位数上限なし。「発展的・探究的な」事項に重点を置いた選択的な扱いも可能に(大学入試対策への過度な傾倒に注意)。
- (3)高校の授業週数の標準は35週を維持。令和10年度から「高校版サキドリ研究校」、単位制の柔軟化は令和11年度か12年度に先行実施。
- (4)既存の特例(日本語指導・通級・学齢超過者)を改善。通級による指導の中で各教科の指導を部分的に可能に。校内外の教育支援センターに通う不登校の子、特異な才能のある子の特別の教育課程を新設。
第5章 「余白」の創出を通じた教育の質の向上
「余白」とは、多様な子供たちの深い学びを実現するための時間的余裕であり、学校や教師にとっての職務上の余白を指す。余白を妨げている原因として、標準授業時数を下回ってはいけないという強い意識による過剰な予備時数、「35週以上」の規定から生まれた週29コマの習慣、厚い教科書を全部教えなければという意識、個別の知識を問う入試などを挙げた。対策として、改訂を待たずに授業時数・週当たりコマ数の見直しを国が促し、次期に向けては調整授業時数制度で年度途中の融通を可能にすることや、年間40週標準・週28コマ化、週27コマ+研修1コマの週時程を広げることを提案した。教科書は統合的な理解・総合的な発揮をつかみやすく精選し、最大15%程度時数を減らしても扱える分量を目指す方向。内容の精選は「精選のための精選」ではなく「学力向上に資する精選」とし、教科ごとの主な精選方針も示した。 P55P56P57P58P59P60P61
- (1)余白を妨げる6つの課題:標準総授業時数内で弾力的に編成できない/過度な予備時数/週29コマの習慣/「厚い教科書を全て教える」意識と指導書どおりの授業/構造化による精選の必要/高校入試の在り方。
- (2)年間1086コマを超える学校は大きく減ったが、平均では標準より週1コマ程度多い設定が続く。週28コマ以下にする学校は小31.1%・中10.4%(R7計画)。
- (2)改訂を待たずに:標準を大幅に上回る編成の改善を促す。小1〜3年にも目安を示した(令和7年度の通知)。始業日の後ろ倒し、三連休の創出、人事異動内示の前倒しなど時間マネジメントの好事例を提供。
- (2)次期の取組:調整授業時数制度で「裁量的な時間」を確保しておけば、不足が見込まれる教科に年度途中で融通できる。教科書の精選と合わせ「2つの懸念」を解消。時間割計算の負担は校務支援システムやAIで軽減。
- (2)年度当初と中盤以降で週コマ数を変えるなど、特定期間に集中して授業ができることを解説で明確化。高校も週30〜31コマの見直しや半期単位の活用で研修時間を確保。
- (3)教科書は統合的な理解・総合的な発揮を実現しやすく精選し、その他の教材(デジタル、学校図書館等)と役割分担。教科書検定調査審議会で仕組みを検討、教科書会社向け説明会も複数回開催。
- (4)精選の手順:統合的な理解・総合的な発揮をもとに精選対象を慎重に特定→個別の資質・能力を整理→統合的な理解等の妥当性を精査。情報の時数確保と調整授業時数(最大15%程度)も踏まえて引き続き検討。
- (4)教科ごとの例:国語の小3タイピングは情報へ移行、社会は用語の精選方針(仮称)、算数・数学は発展的内容やコラムに時数を配当しないよう要請、体育は小4まで「動き」を軸に、外国語は国が基盤語彙リスト、道徳は読み物教材を精選し「深める教材」、特別活動はキャリア・パスポートの例示資料を廃止し引継ぎを求めない。
第6章 豊かな学びに繋がる学習評価
前回改訂で目指した評価改善(指導と評価の一体化、意味のある取組への集中、評価場面の精選、多面的な評価)は十分に実現していないと分析した。形成的評価と総括的評価が区別されず学期ごとの評定づくりが重い、「主体的に学習に取り組む態度」がノート提出など形式的な勤勉さの評価になりがち、小学校では業者の単元テスト、中高ではペーパーテストに偏る、などの課題がある。そこで「学びに向かう力」は総合所見欄での個人内評価を基本とし、思考・判断・表現の過程で3要素が継続的に表れた場合に「思・判・表」に「◯」を付記する方向を示した。◯は思・判・表を通じて評定に影響し得る。統合的な理解・総合的な発揮は当面直接評価せず、単元構想の方向目標とする。評価の手順は「文書作成のプロセス」から「指導と評価を一体的に構想するプロセス」へ転換し、各学校の評価規準づくりの二重作業をなくす方向。 P62P63P64P65P66P67P68P69P70P71
- (1)現行は3観点(知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度)をABCで評価し評定に総括。感性・思いやり等は個人内評価。
- (1)課題:学期ごとに評定を確定させ変更しない取扱いが多く通知表作業が重い/「粘り強さ」が提出頻度や締切遵守など形式的な勤勉さの評価に、「自己調整」は振り返りの負担と子供の忖度/毎時間の記録に残す評価で過度な労力。
- (2)「学びに向かう力」は評価観点として残しつつ、教科ごとの目標準拠評価はやめ、総合所見欄で教育課程全体を通じた個人内評価に。観点名は「学びに向かう力・人間性」などとすることが考えられる。
- (2)思・判・表の過程で「初発の思考や行動」「学びの主体的な調整」「対話と協働」が特に表出した場合に「◯」を付記。評価規準は設けず、国が教科等ごとに「見取る姿」を示す(中学校数学の例も提示)。
- (2)単元ごとの「見取る姿」は示さず、単元ごとの◯付けも求めない。できるだけ長い期間で「継続的な発揮」を見取る。全教科で◯を取ることの目的化や、動機付けのためだけの◯は想定しない。
- (2)◯は独立した観点としては評定に影響しないが、思・判・表と一体的に勘案され評定に影響し得る(例:知・技A、思・判・表B○なら評定5もあり得るが、自動的に上がるわけではない)。
- (2)「見取る姿」と運用方法は改訂後速やかに検討し、小中学校には令和10年度末までに周知。各学校に独自の着眼点の設定を一律には求めない。
- (3)統合的な理解・総合的な発揮は、当面それだけを取り出して規準を作り直接評価することは求めない。ただし「A:十分満足」の判断などで踏まえるため、学習評価と無関係ではない。
- (4)各学校による「内容のまとまりごとの評価規準」の作成は不要に。単元の目標をそのまま評価規準として使う。
- (4)「指導と評価の計画」の作成から授業の「構想」へ。評定への総括は学年末のみも可能と明示し、学期中は形成的評価中心に。
- (4)新しい評価プロセス:目標と評価規準の設定→評価課題のデザイン→学習過程のデザイン→形成的評価の計画的実施→授業の実施→総括的評価。本体には基本的考え方のみ、具体は解説と評価参考資料で。
第7章 情報活用能力の抜本的向上と質の高い探究的な学びの実現
2040年代にはAIなどの情報技術が社会のあらゆる活動の基盤になる一方、偽・誤情報や過度な認知的オフロードなどのリスクもある。現行では、小学校に情報教育の教科上の位置付けがなく学校差が大きい、小中高の育成体系が不明確、教員の免許・指導力などの体制が不十分、という3つの課題がある。そこで「活用」を中核に「適切な取扱い」「特性の理解」の3要素で整理し、小学校は総合的な探究の時間に「情報の領域」を加えることが適切、中学校は家庭科を独立させ技術分野を「情報・技術科」とすることが適当とし、高校は情報科を充実させる方向を示した。国は教材・授業動画の開発(少なくとも年1回の更新)、免許法認定講習、大規模研修などの条件整備を責任を持って進めるべきとした。あわせて探究については、「探究」と「探究的な学び」を整理し、テーマ探究とマイ探究のバランス、研究系・行動系・創作系の多様な探究を示し、小中の「総合的な学習の時間」を「総合的な探究の時間」に名称変更する方向。 P72P73P74P75P76P77
- (1)情報技術の「賢い使い手」とイノベーションの「創り手」を育てる。アドバンスト・エッセンシャルワーカーの育成も重要。
- (1)現行:小学校は独立した教科や固有の授業時数がなく、総則を基礎に各教科等や総合的な学習の時間で文字入力・プログラミング体験等を扱う。中学校は技術・家庭科技術分野「情報の技術」、高校は情報Ⅰ(必履修)・情報Ⅱ。
- (1)3つの課題:指導内容の不足、小中高の育成体系の不明確さ、指導体制等の条件整備(プログラミング指導への苦手意識、技術科・情報科の免許所有者不足、情報Ⅱの開講率の低さ)。
- (1)3要素:情報技術の「活用」(中核)、「適切な取扱い」、「特性の理解」。小学校は体験的活動で活用中心、中学校以降は適切な取扱い・特性の理解を専門的・体系的に。
- (1)小:総合的な探究の時間を「探究の領域」と「情報の領域」で構成。中:家庭科を独立教科にし、技術分野を「情報・技術科」に(他領域とのデジタル面での関わりを強化)。高:情報Ⅰ・Ⅱを充実し、全員にリテラシーレベルの数理・データサイエンス・AIの力。
- (1)条件整備:授業でそのまま使える授業動画を含む教材を国が開発し少なくとも年1回更新、全国規模の免許法認定講習、全担当教員向け研修、複数校指導・遠隔授業、3Dプリンター等の整備。学習指導要領は大枠にとどめ、AIガイドラインや解説を機動的に改訂。
- (2)総合的な学習(探究)の時間の創設から約30年。課題:ネットやAI要約の切り貼りだけの「調べ学習」、学校が決めたテーマへの当てはめ、逆に子供任せ、ものづくり・科学技術の探究が少ないこと。
- (2)探究的な学びの充実は知識の軽視ではなく、確かな知識と探究は往還して高まる関係。
- (2)「探究」=課題・プロセス・成果のすべてを学習者が自己決定できるもの、「探究的な学び」=課題以外のいずれかに裁量があるもの(第2部で整理)。
- (2)小学校の「情報の領域」と「探究の領域」が分断されないよう設計(例:「ミニ探究ユニット」)。テーマ探究とマイ探究のバランス、研究系・行動系・創作系、外部に協力を求める際の留意事項、小中の名称を「総合的な探究の時間」に統一。
第8章 次期学習指導要領の趣旨を実現するために必要な方策
標準総授業時数は現行を維持し、新教科・領域(小学校総合の「情報の領域」、中学校「情報・技術科」)に必要な時数は、35コマ以下を除く小3以上の各教科等から一律3〜4%程度を減らして確保する考え方を示した(具体の時数は今後検討)。新教科・領域は小学校で令和10年度、中学校で令和11年度から段階的に先行実施する経過措置を講じる方向。高校は国語・数学・外国語で科目再編・名称変更の方向が示され、数学Ⅰの新しい学習内容として「社会を読み解く数学」と「数学ガイダンス」を加え、数学Ⅰを最大8新単位程度とすることが適当とされた。カリキュラム・マネジメントは「ねらいの明確化→編成・実施・調整と環境整備→評価・改善」の3ステップに整理し直す方向。高校入試では概念理解や思考力を問う出題を充実させる。条件整備として、改訂後の周知と伴走支援(教育課程柔軟化アドバイザー(仮称)等)、デジタル学習基盤、情報教育の指導体制、教科書・指導書、教員養成・研修、教職員定数の改善を挙げた。 P78P79P80P81P82P83P84P85P86P87P88P89P90
- (1)大臣諮問の前提で標準総授業時数は増やさない。新教科・領域の創設は標準授業時数を増やす唯一の例外。
- (1)新教科・領域の時数(各学年最大):表では小学校「情報の領域」3〜6年、中学校「情報・技術科」1〜3年について、30コマ程度・35コマ程度・70コマ程度・35コマ程度の数字が示されている(中学校は現行の技術分野の内容を含む)。
- (1)時数確保:特定教科からではなく、小3以上の各教科等(現在35コマ以下を除く)から一律3〜4%程度を「広く薄く」減らす。具体の数字は教育課程企画特別部会で検討し適切な時期に示す。
- (1)令和7年度補正予算で学習動画・教材等の整備に着手。小学校は令和10年度、中学校は令和11年度から段階的に先行実施する経過措置(具体は今後検討)。
- (2)高校(いずれも提案段階):外国語は「英語コミュニケーション(総合)(仮称)」「英語コミュニケーション(発信)(仮称)」に名称変更する方向。国語は選択科目を再編し「現代の国語Ⅱ(仮称)」「言語文化Ⅱ(仮称)」(各8新単位)と発展的な4科目(「論説と批評」「対話と表現」「文学と創作」「古典と文化」、いずれも仮称・各4新単位)とする方向。数学はA・B・Cを一つの新選択科目(数理活用(仮称)、2〜12新単位)にし、数学Ⅰの学習内容に「社会を読み解く数学」「数学ガイダンス」を加えて最大8新単位程度、数学Ⅱを6新単位とする案。
- (2)改訂後案では、必履修単位は38単位(76新単位)から最大78新単位に。ただし学習時間は1330コマから1326コマとわずかに減少。減単後の最低は64新単位。
- (3)カリマネの課題:「カリマネ=教科等横断」と理解され単元配列表づくりが目的化、時間マネジメントが注目されない、手順例が実務で使いにくい。3ステップへ再整理(数年単位で回すことも可)。
- (4)高校入試:個別の知識を単純に問う出題の改善、出題方針の公表や作問解説、採点等でのAI活用、スクール・ミッション等を踏まえた多様な選抜、不登校の生徒の評定の扱いや障害のある生徒への合理的配慮、学校教育法施行規則第90条の在り方の検討。
- (5)社会に開かれた教育課程の3つの趣旨それぞれを具体化。学校運営協議会による調整授業時数制度の活用方針の承認、協働相手を大学・企業・NPO等にも拡張、総合を教育課程上の「出島」に。
- (6)本年度末に学習指導要領を改訂した後、教師・教職課程の学生・子供・保護者・地域まで周知。動画コンテンツ、大規模説明会と少人数説明会。教育課程柔軟化アドバイザー(仮称)の育成、各都道府県・指定都市に拠点校。
- (6)デジタルな形態を含む新たな教科書の導入、外国語でのAI活用の考え方提示、理科設備の整備・更新。
- (6)教員養成:教職課程に「教育の方法・技術及びデジタル学習基盤」「多様な特性の理解と包摂」「学級経営」の追加、小学校専科免許の導入などが整理されている。
- (6)令和10年度までの新たな定数改善計画を推進しつつ、今後必要な教職員定数の改善。学習指導員、教員業務支援員、SC・SSWなど支援スタッフの充実。全国学力・学習状況調査の改善、指導主事の資質向上、指導主事未配置市町村への対応。
現行と次期の比較(総論)
黄色のマーカー=次期で新しく入る・強く打ち出される言葉 取り消し線=現行から消える・言い方が変わる言葉
| 項目 | 現行 | 次期(審議まとめの方向) |
|---|---|---|
| 学習指導要領の内容の示し方 | 個別の知識や技能などを文章で示している。資質・能力の「深まり」や「一体的育成」が書きぶりから見えにくい。 | 内容のまとまりごとに「統合的な理解・総合的な発揮」を示し、その下に個別の資質・能力をぶら下げる構造にする方向。 P13P15 |
| 学習指導要領のレイアウト | 文章中心で、記載が冗長・複雑になっている部分がある。 | 一文を短くしスリム化したうえで、表形式で示す方向。教科に応じて「並列」パターンか「並行」パターンを選ぶ。 P14P17P19P20 |
| 学習指導要領の提供形態 | 紙の冊子とそのPDF版で提供。検索しにくく(改行で切れた語は検索できない)、AIで使いにくい。 | ウェブサイトで提供する「デジタル学習指導要領」をつくる方向。リンク・キーワード検索・多様な出力・生成AIが読みやすいデータ・学習指導要領コードで教材や問題を探せる。 P21 |
| 学年区分の示し方 | 学年別、複数学年別、学年を示さないものがあり、学年別目標もある。「上級学年の内容は扱ってはならない」との誤解(例:習っていない漢字は使ってはいけない)も生じている。 | 学年別に目標は定めない方向。指導学年を示す場合も「◯学年相当」と書き、それに囚われず編成できることを明確にする。 P18P39 |
| 「学びに向かう力、人間性等」の示し方 | 多岐にわたる項目が羅列的に書かれ、関係性が見えにくい。評価の「粘り強さ」「自己調整」に狭めて理解されがち。 | 「初発の思考や行動を起こす力・好奇心」「学びの主体的な調整」「他者との対話や協働」「学びを方向付ける人間性」の4要素に再整理し、各教科等の目標にバランスよく含める方向。 P16 |
| 「見方・考え方」 | 各教科等の目標の一部だが、具体は解説を読まないと分からない。学びの深まりと教科の本質的意義の2側面が混在し、抽象的で分かりにくい。 | 教科を学ぶ本質的な意義に焦点化し、学習指導要領本体の目標直下に別欄で記載する方向。3要素(事象や対象・捉える視点・考え方や判断の仕方)を含める。 P23 |
| 学習の基盤となる資質・能力 | 「言語能力」「情報活用能力」「問題発見・解決能力」の3つ。 | 「言語能力・情報活用能力」の2つに絞る方向(情報活用能力は情報技術の活用に限る)。問題発見・解決能力は教育課程全体の取組で実質化。 P24 |
| ICT・デジタルの前提 | 5人に1台程度の端末整備(平成30年当時)を前提に、情報手段の積極的な活用を記載。学習者の学習ツールとしての発想が書かれていない。 | デジタル学習基盤が常に利用可能であることを前提に示す方向。総則に意義を明記し、学習者の学習ツール・合理的配慮の基盤としても位置付ける。 P25P26 |
| 総則の「個に応じた」項目 | 総則に「個に応じた指導の充実」を記載。令和答申の「個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実」は総則に反映されていない。 | 「個に応じた学習過程の充実」に発展させる方向で、教師主語と学習者主語の2つの視点で記載。令和答申の考え方も整理して位置付ける。 P27P28 |
| 授業時数の運用(小・中) | 年度当初に各教科等の標準授業時数を確保して編成。柔軟化には特例校制度があるが国の審査・指定が必要で「特別なこと」になっている。 | 「調整授業時数制度」の創設が提案された。内容を全部扱う前提で標準を下回って編成でき、生まれた時間を上乗せ・新教科・裁量的な時間に充てられる。国への申請は不要とする方向。 P31 |
| 授業時数特例校制度との違い | 対象教科等の10%まで下回ることが可能。教科等横断・探究の推進が趣旨のため総合的な学習の時間は対象外。標準総授業時数内で教科等以外の内容は入れられない。 | 下回ってよい幅は最大15%程度(小138・中128コマ程度)を想定。総合的な学習の時間も対象。教科等以外の「裁量的な時間」にも充てられる(いずれも案で、具体の数字は今後決定)。 P31P32P37 |
| 教育課程特例校制度 | 設置者の申請と審査を経た文部科学大臣の指定で、内容の組替えやイマージョン教育などを認めている(毎年1900校超)。 | 不適切な運用を防ぐ取組を講じたうえで調整授業時数制度に統合し、各学校の判断で実施可能とすべきとされた。 P36 |
| 教師の研究・研修の時間 | 標準授業時数を確保して編成するため、研究・研修等の時間を教育課程の中で確保しにくい。 | 裁量的な時間の「研究・研修等枠」で週1コマ(最大35コマ)程度を上限に、組織的な研究・研修を教育課程の時間を使って行えるようにする案。 P34P36P55 |
| 年間の授業週数(小・中) | 年間35週(小1は34週)以上にわたって行うよう計画。これが「35週で割って週29コマ」という認識につながっている。 | 年間40週を標準とし、週当たりの授業時数が過重負担にならないよう配慮して計画する示し方とすべきとされた。特定期間に集中して授業できることも明確化する方向。 P39P56P57 |
| 1単位時間の示し方(小・中) | 学校教育法施行規則の備考で「一単位時間は四十五分」(中学校は50分)と示し、各学校で適切に定められることは総則に書かれているが認識が広がっていない。 | 規則の備考欄で各学校が単位時間を適切に定める旨を明確にし、総則でさらに丁寧に書くことが適当とされた。 P39 |
| 高校の1単位の計算 | 50分×35コマで1単位。卒業に必要なのは74単位。35コマ未満の学習は単位にできず、学期ごとの柔軟な選択も難しい。 | 50分×17コマを1単位の標準とする案(半期で1単位を認定)。卒業に必要な単位は148新単位とすることが適当とされた。2学期制への移行を前提とするものではない。 P42P46 |
| 高校の減単 | 必履修科目は原則減単できず、標準2単位の必履修科目は減単不可。3単位を2単位にする(約33%減)ことは特に必要な場合に可能。 | 「一定の限度の下で可」を基本とする案。2単位科目(4新単位)も1新単位の範囲で、4単位科目(8新単位)は3新単位まで減単可。ただし各教科の合計が3新単位以下になる減単は不可。 P47 |
| 高校の科目の組替え | 原則として科目間の内容の移行・入れ替えは認められない(教育課程特例校等では可能だが国の審査が必要)。 | 一定の要件(目標の趣旨を損なわない等3つ)の下、学校の判断で必履修を含む科目の移行・統合を可能にする案。既存科目だけの「組替え後科目」は単位数上限を設けない方向。 P42P43P44P45 |
| 高校の必履修科目の履修免除 | 既に高い資質・能力を身に付けている生徒も必履修科目から履修する必要がある。 | 社会的信頼性のある外部試験の合格などの要件を満たせば、学校や教育委員会の判断で履修を免除し上位科目等に振り替えられる仕組みが提案された。まず外国語と数学から(英語はCEFR B2相当以上とすることが考えられるとされ、対象試験や水準は今後解説等で定める)。 P42P48P49 |
| 高校の週当たり授業時数 | 週30単位時間(30コマ)が標準。そのため3年間で90単位以上の履修が一般的で、余白が少ない。 | 週30コマの標準は示さないこととすべきとされ、卒業に必要な単位の範囲で各学校が柔軟に週時程を組める。 P42P51 |
| 高校の学校設定教科・科目の単位上限(普通教育を主とする学科) | 卒業単位に含められるのは20単位まで(専門学科は上限なし)。 | 普通科は28単位(56新単位)、「その他普通教育を主とする学科」は必履修分を除く全て(70新単位)まで可能とする案。 P45P50 |
| 高校の授業週数 | 全日制の各教科・科目とホームルーム活動は年間35週を標準。 | 標準と実態の大きなずれはないとして、35週の標準を維持することが適当とされた(変更なし)。 P51 |
| 「主体的に学習に取り組む態度」の評価 | 教科ごとに観点別評価(ABC)で目標準拠評価。「粘り強さ」「自己調整」の2側面で見るが、形式的な勤勉さの評価になりがち。 | 「学びに向かう力」は総合所見欄で教育課程全体を通じた個人内評価に。3要素が継続的に表れたら「思・判・表」に「◯」を付記する方向。 P62P63P64P65 |
| 評価規準の作り方 | 各学校が「内容のまとまりごとの評価規準」を作り、その上で単元の評価規準を作る。単元の目標と評価規準も別々に作る(多くは語尾を変えただけ)。 | 国が「内容のまとまりごとの評価規準例」を示し、各学校の作成は不要とする方向。単元の目標をそのまま評価規準として用いる。 P69 |
| 指導と評価の計画・評定の時期 | 評価参考資料で「指導と評価の計画」の作成を求める。学期ごとに評定を確定し変えない学校が多い。形成的評価と総括的評価の役割分担は解説に明示されていない。 | 文書の作成ではなく授業の「構想」として示す方向。評定への総括は学年末のみも可能と明示し、学期中は形成的評価中心に。解説で役割分担を明確化。 P62P70 |
| 小学校の情報教育 | 教科等上の明確な位置付けや固有の授業時数がない。総則で文字入力やプログラミング体験などの学習活動を示し、各教科等や総合的な学習の時間の内容の取扱いでも扱うが、授業時数や内容の具体がなく学校差が大きい。 | 総合的な探究の時間に「情報の領域」を加え、「探究の領域」と「情報の領域」の2領域で構成することが適切とされた。それぞれ別に標準授業時数を設定する方向。 P72P74P78 |
| 中学校の技術・家庭科 | 技術・家庭科の技術分野の一領域「情報の技術」で情報を扱う。教員免許・担当は別だが評定は1つの教科として記載。 | 家庭科を独立の教科にし、技術分野は適切な時数を確保して「情報・技術科」とすることが適当とされた。 P72P74 |
| 高校の情報科 | 情報Ⅰ(必履修)・情報Ⅱ。中学校までの蓄積不足で基礎に時間が割かれ、大学の数理・データサイエンス・AI教育を見越した内容になっていない。情報Ⅱの開講率は低い。 | 情報Ⅰ・Ⅱの内容をさらに充実し、データサイエンスやAIを強化する方向。高校卒業生全員にリテラシーレベルの力を育てる。 P72P73P74 |
| 総合の名称(小・中) | 小中学校は「総合的な学習の時間」、高校は「総合的な探究の時間」。 | 小学校から高校まで一貫して「総合的な探究の時間」とする方向。 P11P77 |
| カリキュラム・マネジメントの示し方 | 総則に「3つの側面」、解説に6段階の手順例。「カリマネ=教科等横断」と理解され単元配列表づくりが目的化する例も。 | 「ねらいの明確化」→「編成・実施・調整と環境整備」→「評価・改善」の「カリマネの3ステップ」に再整理する方向。調整授業時数制度等の活用を中核に、教科等横断は視点として位置付け。 P83P84P85 |
| 高校数学の科目構成 | 数学Ⅰ(3単位・必履修)、数学Ⅱ(4単位)、数学Ⅲ(3単位)、数学A・B・C(各2単位)。 | A・B・Cの区分をなくし一つの新選択科目(数理活用(仮称)、2〜12新単位)にする方向。数学Ⅰの新しい学習内容として「社会を読み解く数学」「数学ガイダンス」を加え、数学Ⅰは最大8新単位程度、数学Ⅱは6新単位とすることが適当とされた。 P80P81P82 |
| 高校外国語・国語の科目 | 外国語:英語コミュニケーションⅠ〜Ⅲ、論理・表現Ⅰ〜Ⅲ。国語の選択科目:論理国語・文学国語・国語表現・古典探究(各4単位)。 | 外国語:「英語コミュニケーション(総合)(仮称)」「英語コミュニケーション(発信)(仮称)」に名称変更する方向(単位数は現行同様)。国語:選択科目を「現代の国語Ⅱ(仮称)」「言語文化Ⅱ(仮称)」(各8新単位)と「論説と批評(仮称)」「対話と表現(仮称)」「文学と創作(仮称)」「古典と文化(仮称)」(各4新単位)に再編する方向。正式名称は告示まで未確定。 P80P82 |
| 高校の必履修単位数と学習時間 | 必履修38単位(減単時最低35単位)、必履修科目の総学習時間1330コマ。 | 改訂後案では必履修78新単位(減単時最低64新単位)、総学習時間1326コマ(わずかに減少)。 P81P82 |
| 通級による指導 | 各教科等の学びは通常の学級で行い、内容によっては困難があっても教育課程上の対応は難しい。 | 特例的な措置として、通級による指導の中で各教科の指導を部分的に行えるようにする方向。 P53 |
| 教育支援センター等に通う不登校の子 | 特別の教育課程を組む制度がない。下学年の学び直しに取り組んでも在籍学年の基準で評価するため「1」や「ー」の評定になりやすい。 | 必要な場合に特別の教育課程を編成できる仕組みを新設する方向。子供自身が関わる新しい性質の個別の指導計画を前提とする。 P54 |
| キャリア・パスポート | 例示資料が示されている(本文では廃止対象として言及)。 | 例示資料を廃止し、デジタル活用を進め、学校による引継ぎを求めないことを明確化する方向。 P61 |
| 小学校体育の内容の示し方 | 具体的な運動の種類を示している(小4までについて改めるとの記述から)。 | 小4までは、どのような「動き」ができるようになってほしいかを軸に示す方向。各領域は2年間のまとまりで計画的に学ぶことを基本とする。 P61 |
| 高校入学者選抜の規定 | 学校教育法施行規則第90条で、特別な事情がある場合を除き調査書と学力検査に基づいて行うとされている。 | 学力検査を行わない選抜や調査書を用いない選抜を必要に応じて実施できることが明確になるよう、規定の在り方を検討する。 P86 |
数字で見る審議まとめ
スケジュール
| 年度 | 2026 | 2027 | 2028 | 2029 | 2030 | 2031 | 2032 | 2033 | 2034 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 幼稚園等 | 審議・答申 | 周知 | 全面実施 | ||||||
| 小学校 | 審議・答申・告示 | 周知 | 先行実施 | 先行実施 | 全面実施 | ||||
| 小学校の教科書 | 著作・編集 | 検定 | 採択・供給 | 使用開始 | |||||
| 中学校 | 審議・答申・告示 | 周知 | 先行実施 | 先行実施 | 先行実施 | 全面実施 | |||
| 中学校の教科書 | 著作・編集 | 検定 | 採択・供給 | 使用開始 | |||||
| 高等学校 | 審議・答申 | 告示(年度末) | 周知 | 先行実施 | 先行実施 | 先行実施 | 入学生から | 2年生まで | 全学年 |
| 高校の教科書 | 著作・編集 | 検定 | 採択・供給 | 使用開始(学年ごと) |
文部科学省「学習指導要領等の改訂に関するスケジュール(イメージ)」(令和8年10月5日 第136回教育課程部会 参考資料7。「今後変更の可能性がありうる」と注記)より。
- 令和6年12月文部科学大臣が中央教育審議会に諮問し、次期学習指導要領の検討が始まった。【決定】 P4
- 令和7年度教育課程編成・実施状況調査を踏まえた通知で、小1〜3年の標準を大きく上回る時数の目安を示し、週28コマ以下にする教育課程編成の具体例も示した(改訂を待たない見直し)。【決定】 P56
- 令和7年度補正予算告示・周知後すぐに新教科・領域の内容を扱えるよう、学習動画・教材等の整備に着手している。【決定】 P79
- 令和8年4月時点先行研究開発学校として9都道府県68校が、生み出した時数を個に応じた学びや研究・研修に充てる取組を実施。【決定】 P31
- 令和8年度から高校で、研究開発学校制度により単位制の柔軟化に取り組む学校の実践研究を進めている。【決定】 P51
- 令和8年10月5日教育課程部会「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」。【決定】 P1
- 今年度中(令和8年度中)サキドリ研究校(現在332校)の追加募集を行う。【方針】 P38
- 本年度末(令和8年度末)学習指導要領を改訂(告示)し、その後、教師・教職課程・子供・保護者・地域に向けて本格的に趣旨の周知と理解醸成を図る(特設ウェブサイト、動画、大規模・少人数説明会)。【見込み】 P88
- 改訂後速やかに「学びに向かう力」の「見取る姿」と「◯」の運用方法を文部科学省で検討開始。【方針】 P65
- 令和9年度サキドリ研究校の実施校を大幅に増やし、市町村レベルのモデル創出・知見蓄積を加速。【方針】 P38
- 令和9年度末高等学校学習指導要領の改訂を予定。【見込み】 P51
- 令和10年度から小・中学校の先行実施期間。現行の標準授業時数を基礎にしつつ調整授業時数制度を活用できるようにする。不登校・特異な才能の子の特別の教育課程(2階部分)も一体的に取り組めるようにする。【方針】 P38
- 令和10年度から小学校で新教科・領域(総合的な探究の時間の「情報の領域」)を段階的に先行実施するための経過措置を講じる(具体の内容は今後検討)。【方針】 P79
- 令和10年度末まで「見取る姿」や運用方法(国立教育政策研究所の参考資料を含む)を小中学校・教育委員会に確実に周知し、小学校全面実施までに準備期間を設ける。【方針】 P65
- 令和10年度まで新たな「定数改善計画」を推進中(教職員の指導体制)。【決定】 P90
- 令和10年度以降調整授業時数の上限や裁量的な時間の要件・類型などは、施行後も運用実態を踏まえて必要に応じ見直す。【方針】 P38
- 令和11年度から中学校で新教科(情報・技術科)を段階的に先行実施するための経過措置を講じる(具体の内容は今後検討)。【方針】 P79
- 令和11年度あるいは12年度高校の単位制の柔軟化を先行実施。具体の年度は都道府県教育委員会等の検討状況や高校版サキドリ研究校の進展を踏まえて最終決定。【方針】 P51
- 令和14年度入学生から高校で年次進行により実施(資料編の図中の注記。今後変更の可能性ありと明記)。【見込み】
- 参考:過去の例現行改訂の経過措置では、小学校外国語科創設に向け、全面実施前の2年間(平成30年度・令和元年度)に小3以降で外国語活動の時数を追加して先行実施した。【決定】 P79
- 令和8年度中(資料編)「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」を改定。【方針】
- 令和10年度まで(資料編)中学校技術分野・高校情報科担当教員の臨時免許状所有者・免許外教科担任をゼロにする目標。【方針】
先生にとって何が変わる?
- 小・中学年は「◯学年相当」の示し方になり、「上の学年の内容は扱ってはいけない」「習っていない漢字は使ってはいけない」といった運用は見直しの方向。相当学年外で扱う際の留意点は総則に書かれる。 P18
