言語・コミュニケーション
翻訳アプリの時代に、外国語を学ぶ意味を語る

多言語・翻訳アプリ・やさしい日本語。英語を学ぶ意味そのものを問う文章は、英語の入試ならではの頻出分野です。
言語は、考えや気持ちを伝える道具であると同時に、文化や思考の一部でもあります。世界には7,000前後の言語があるとされますが、その多くは話す人が少なく、消滅の危機にある言語も少なくありません。母語は生活の中で自然に身につきますが、外国語の習得にはふつう意識的な学習が加わります。子どもが二つ以上の言語で育つバイリンガルの環境は、現在では珍しくありません。コミュニケーションは、ことばだけで成り立つわけではありません。表情、身ぶり、声の調子、間の取り方といった非言語コミュニケーションも、伝わる内容に大きく影響します。また、同じ言葉でも、文脈や文化によって意味が変わることがあり、皮肉や比喩は誤解のもとになりやすいものです。近年は、機械翻訳や生成AIの精度が上がり、外国語を学ぶ意味が問われるようになりました。一方で、ニュアンスや文化的な背景を汲み取る力は、依然として人間に求められます。SNSでは短い文章で意思疎通するため、誤解や対立が生まれやすいことも指摘されています。入試では、こうした現代的な話題が賛否の論点として問われやすくなっています。
英語の試験は、そもそも「ことば」を扱う場です。そのため、言語そのものをテーマにした文章は、出題者にとって取り上げやすい題材になります。母語と外国語の関係、方言や言語の消滅、翻訳の難しさ、ジェスチャーや表情の役割など、身近なのに奥深い話題が多く、英文の内容も理解しやすいのが特徴です。また、SNSや機械翻訳の普及でコミュニケーションの形が変わり、賛否の分かれる論点が増えました。自由英作文でも、英語学習や多様性と結びつけて出題される可能性があります。
長文読解:言語の役割や変化、異文化間の誤解、母語と外国語学習の関係を論じる文章が考えられます。筆者が言語の何に注目しているのか、対比の構造を追う力が問われやすく、要約問題の素材にもなります。
リスニング:言語学の講義、留学生同士の会話、プレゼンテーションの練習など、話し方を扱う場面が多いです。話し手の意図や態度を聞き取る設問が出やすいので、強く読まれる語に注意して聞きましょう。
自由英作文・小論文:「英語を公用語にすべきか」「機械翻訳があれば外国語学習は不要か」といったお題が考えられます。最初に賛否をはっきりさせ、理由と具体例で立場を支える練習に向いています。
| # | 英語 | 意味 | # | 英語 | 意味 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | vocabulary | 13 | nuance | ||
| 2 | grammar | 14 | literal | ||
| 3 | accent | 15 | metaphor | ||
| 4 | dialect | 16 | idiom | ||
| 5 | fluent | 17 | context | ||
| 6 | bilingual | 18 | gesture | ||
| 7 | acquire | 19 | eloquent | ||
| 8 | translate | 20 | persuade | ||
| 9 | interpret | 21 | linguistic | ||
| 10 | convey | 22 | endangered | ||
| 11 | articulate | 23 | pronunciation | ||
| 12 | ambiguous | 24 | negotiate |
| # | 日本語 | 英語 | # | 日本語 | 英語 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 方言 | 13 | 慣用句、イディオム | ||
| 2 | はっきり話せる、明確な | 14 | 発音 | ||
| 3 | 身ぶり、ジェスチャー | 15 | 二言語を使える | ||
| 4 | 語彙 | 16 | 微妙な意味合い | ||
| 5 | 翻訳する | 17 | 説得する | ||
| 6 | 比喩、隠喩 | 18 | なまり、アクセント | ||
| 7 | 絶滅の危機にある | 19 | 伝える | ||
| 8 | 流ちょうな | 20 | 文脈、状況 | ||
| 9 | あいまいな | 21 | 交渉する、話し合って決める | ||
| 10 | 雄弁な、表現力豊かな | 22 | 習得する、身につける | ||
| 11 | 文法 | 23 | 文字どおりの | ||
| 12 | 解釈する、通訳する | 24 | 言語の、言語学の |

必要なら形を変えよう(複数形・過去形など)。下の和訳がヒント。
英作文・スピーキングでそのまま使える表現です。このテーマについて、表現を使った英文を書こう。
・誤解の指摘:「言葉さえ通じればわかり合える」という思い込みを取り上げ、文脈や文化が違えば誤解が生まれると述べる型です。冒頭の思い込みが、後半で覆されます。
・対比構造:話し言葉と書き言葉、母語と外国語のように二つを比べ、それぞれの特徴を示したうえで、筆者の結論を提示します。最後の段落が特に重要です。
・変化への視点:言語は絶えず変化するものだと示し、新しい表現を「乱れ」と見るか「進化」と見るかで、筆者の立場を打ち出します。
・具体的な場面の提示:会話の一場面や身近な失敗談から入り、そこから一般的な主張へと広げる展開です。筆者の狙いは後半に出ます。
| 論点 | 賛成側の理由 | 反対側の理由 |
|---|---|---|
| 英語を公用語にすべきか | ||
| 機械翻訳と外国語学習 | ||
| 消えゆく言語を守るべきか |
3・4 単語24
- vocabulary 語彙
- grammar 文法
- accent なまり、アクセント
- dialect 方言
- fluent 流ちょうな
- bilingual 二言語を使える
- acquire 習得する、身につける
- translate 翻訳する
- interpret 解釈する、通訳する
- convey 伝える
- articulate はっきり話せる、明確な
- ambiguous あいまいな
- nuance 微妙な意味合い
- literal 文字どおりの
- metaphor 比喩、隠喩
- idiom 慣用句、イディオム
- context 文脈、状況
- gesture 身ぶり、ジェスチャー
- eloquent 雄弁な、表現力豊かな
- persuade 説得する
- linguistic 言語の、言語学の
- endangered 絶滅の危機にある
- pronunciation 発音
- negotiate 交渉する、話し合って決める
5 穴埋め
- dialect
- Grammar
- translate
- pronunciation
- accent
- vocabulary
- idioms
- acquire
- nuance
- bilingual
- endangered
- fluent
6 和訳
- 書き手は、難しい考えを説明するために比喩をよく使います。
- 直訳は、英語では不自然に聞こえることがよくあります。
- 彼女は、考えをはっきり説明できる話し上手な人です。
- 分かりやすい例があれば、聞き手を説得できます。
8 論点の例
英語を公用語にすべきか
賛成:国際的な情報や取引に参加しやすくなり、企業や大学の国際化も進みます。世界と共通のことばを持てば、やり取りがずっと円滑になるという主張です。
反対:母語や文化の価値が軽んじられるおそれがあります。英語が得意な人と苦手な人のあいだに、新たな不公平が生まれるという主張です。
機械翻訳と外国語学習
賛成:翻訳の精度が上がり、旅行や日常の意思疎通なら道具で十分になりつつあります。浮いた時間を、ほかの学びや活動に使えるという主張です。
反対:文化的な背景やニュアンスの理解は、道具に任せきれません。外国語を学ぶ過程で育つ考える力や、ことばを通じた人間関係も失われかねないという主張です。
消えゆく言語を守るべきか
賛成:言語は文化や知恵の蓄えであり、一度失われると二度と戻りません。多様な言語は人類全体の財産であり、研究の対象としても価値が高いという主張です。
反対:話し手自身が、仕事や進学に有利な別の言語を選ぶ場合もあります。本人の選択を尊重すべきで、限られた予算で保護を強いるのは難しいという主張です。
早期の外国語教育
賛成:幼い時期は、発音や聞き取りを身につけやすいとされます。学ぶ期間が長くなり、外国語への抵抗感も小さくできるという主張です。
反対:母語の力が十分に育つ前に時間を割くことを心配する声があります。教える人材や授業時間が足りなければ、効果は限られるという主張です。
SNS時代の短い言葉
賛成:短く手軽に気持ちを伝えられ、世界中の人とつながれます。新しい表現や言葉が次々に生まれ、言語が活気づく面もあるという主張です。
反対:表情や声の調子が伝わらないため、誤解や炎上が起きやすくなります。短い言葉に慣れると、長い文章を読み書きする力が弱まるという心配もあります。
言葉は思考を左右するか
賛成:使う言語によって、色や時間、方向などの捉え方が違うとする研究があります。言葉はものの見方に影響を与える、と考える立場です。
反対:言語が違っても、人間の基本的な考え方は共通だという見方が有力です。影響があるとしても限られており、研究の結果も一致していないという主張です。
9 英作文の採点基準(10点)
- 内容(立場が明確・問いに答えている)3点
- 理由2つが具体的で、立場を支えている 3点
- 構成(P→R→R→P、つなぎ言葉)2点
- 英語の正確さ・語数(80〜100語)2点
先生・自習のヒント
言語・コミュニケーション系の動画は、話し手自身が「伝え方」の手本です。観る前に「どんな例で話を始めるか」を1分予想し、日本語字幕で内容をつかんだら、英語字幕では例え話や言い換えの表現を3つメモしましょう。好きな30秒をまねるときは、どこで間を取り、どの語を強く言っているかまで写すのがコツ。最後に、気に入った話の組み立てを借りて、英語で1〜3文書いてみてください。
関連トーク(TED HACKS で観られます)
- 2つの言葉を話す脳は、なにがすごい?(TED-Ed・5:04)
- たった1つの物語が、偏見をつくる(TED・19:17)
- 話す言葉が変わると、世界の見え方も変わる?(TED・14:13)
- 英語はどこから来たの?ことばの家系図をたどる(TED-Ed・4:54)
予想長文
- Why Learn a Language When Machines Can Translate?(316語)
- A Shared Language and the Survival of Local Ones(434語)